via(ビア)

高周波プリント基板のシミュレーションに関する翻訳に、via(ビア)という言葉がよく出てくる(例えば、Advanced Design System(ADS) W2360EP/ET SIProシグナルインテグリティー電磁界解析 W2359EP/ET PIProパワーインテグリティー電磁界解析のp3)。

プリント基板(Printed Circuit Boardを略してPCBとも呼ばれる)とは、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの電子部品を固定して配線するための基板であり、携帯電話の内部やPCの内部のマザーボードとしてよく目にする。

プリント基板には、基板の片方の面内にのみ配線パターンがある片面基板(1層基板)、基板の表と裏の両面に配線パターンがある両面基板(2層基板)、基板を複数重ねた多層基板がある。ICのピン数が多くなると、1つの平面内で配線することが難しくなるので(ICのピンから出ている多数の配線を同一面内でショートさせずに配線を交差させるには、基板の裏面に配線を通したり、絶縁体で隔てられた別の層に配線を通したりする必要があるので)、PCのマザーボードなどでは、6層基板や8層基板が使われている。

ビアとは、配線をショートさせずに交差させるために、基板の表と裏をつないだり、多層基板の各層をつなぐために開けた穴のこと(基板の裏や別の層を経由してつなぐという意味でviaと呼ばれる)で、導通させるために穴の内側は銅などでめっきされている。すべての層を貫通した接続用の穴はスルー・ビア・ホール(through via hole)、目的の層と層の間だけを貫通した穴はインタースティシャル・ビア・ホール(interstitial via hole)と呼ばれている。

conducted emission(伝導性エミッション)、radiated emission(放射性エミッション)

EMI測定に関連する翻訳に、conducted emission(伝導性エミッション)、radiated emission(放射性エミッション)という言葉がよく出てくる(例えば、EMIコンプライアンス測定のp3)。

EMI(Electro-Magnetic Interference)とは、電気/電子機器の動作に伴い発生した不要な信号や電磁波(電磁ノイズ)が、他の機器の動作を妨害する(他の機器の動作に障害を与える)ことであった。

エミッション(emission)とは機器の動作に伴い発生したノイズのことであり、それが空中を伝わって他の機器の動作を妨害しているものが放射性エミッションで、電源線を伝わって他の機器の動作を妨害しているものが伝導性エミッションである。

放射性エミッションは、電波暗室内で回転台の上に製品を乗せて回しながら固定されたアンテナで電磁波が測定され、伝導性エミッションは、電源と製品の間に電源インピーダンス安定化回路(LISN)を挿入して、電源線を伝わってくるノイズが測定される。

伝導性エミッション、放射性エミッションについては、以下を参照。

マイクロウェーブ ファクトリー株式会社のホームページ > コラム > EMCの測定方法

MER(変調誤差比)

デジタル変調測定に関する翻訳に、MER(変調誤差比)という言葉がよく出てくる(例えば、Xシリーズ測定アプリケーションのp14)。

MERは、Modulation Error Ratio(変調誤差比) の略で、デジタル変調信号(BPSK、QPSK、16-QAMなど)の品質の指標である。

デジタル変調信号は、横軸を搬送波と同じ位相、縦軸を搬送波と直交する位相にとったコンスタレーション図上のシンボル・ポイント(シンボル位置とも呼ばる)で表される。

変調誤差比(MER)は、コンスタレーション図の原点から理想的なシンボル位置(I、Q)までの距離の2乗を、復調した実際のシンボル位置(Ia、Qa)と理想的なシンボル位置(I、Q)との差であるエラー(誤差)ベクトル(δI、δQ)=(I-Ia、Q-Qa)の2乗(n回の測定の平均)で割ったものとして、

MER=10Log((I^2+Q^2)/(1/n)Σ((I-Ia)^2+(Q-Qa)^2)) [dB]

で定義される。これは、シンボルのパワーとエラーベクトルのパワーの比であり、アナログ信号のSN比(信号対雑音比)に相当するものである。

MER(変調誤差比)については、以下を参照

変調誤差比(MER)およびエラーベクトル振幅(EVM)