breakdown voltage(ブレークダウン電圧)

パワーMOSFETの測定に関する翻訳で、breakdown voltage(ブレークダウン電圧)というよく言葉が出てくる(例えば、B1505Aによる1500 A/10 kVハイパワーMOSFETの特性評価のp4)。

パワーMOSFETは、身の回りのさまざまな電化製品のスイッチング電源やPCのマザーボード上のDC-DCコンバーターなどに広く使用されている。MOSFETの動作原理説明では、P型半導体基板の上部表面の水平(横)方向にソース電極、ゲート電極、ドレイン電極を配した横型MOSFETの図(例えば、このページの図)が用いられるが、パワーエレクトロニクスでは、損失を少なくするために低オン抵抗の縦型MOSFETがよく用いられる。縦型MOSFETは、N型半導体基板の上にN型のピタキシャル層を形成し、その上部表面に高濃度のN型層と低濃度のP型層を2重拡散で形成したもので、ソース電極とゲート電極はその上部に存在し、ドレイン電極はN型半導体基板の下に存在する(例えば、このページの図)。このような構造にすることにより、横型MOSFETよりも電流が流れる経路が広くなり、低オン抵抗という特性が得られる。

縦型MOSFET構造には、拡散形成されたP型層とエピタキシャル形成されたN型層のPN接合による寄生ダイオードと、(拡散形成されたN型層-拡散形成されたP型層-エピタキシャル形成されたN型層)によるNPN型の寄生トランジスタが存在する。ブレークダウン電圧とは、この寄生ダイオードに逆バイアス電圧が印加され、アバランシェ増倍効果(例えば、ここを参照)に起因する大きな電流が流れ始める電圧のことである。この大電流により温度が上昇し寄生トランジスタのベース抵抗が大きくなり、その抵抗での電圧降下が大きくなって、寄生トランジスタがオンになり、破壊に至る。

MOSFETのブレークダウン電圧については、以下を参照。

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パワーMOSFETの基礎パワーMOSFETアバランシェ設計ガイドライン

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