無線通信測定に関する翻訳に、SEMという言葉がよく出てくる(例えば、LTE/LTE-Advanced FDD/TDD Xシリーズ 測定アプリケーションのp5)。SEMは、SEM(スペクトラム・エミッション・マスク)の略である。
無線通信では、電波(搬送波)を変調して情報を送信する。このとき、送信機のアンプやミキサ(周波数アップコンバーター)などの非線形に起因して、情報を送信するために必要な周波数帯域幅(搬送波の周波数を中心にした、変調方式により決まる占有帯域幅)の外に、高調波成分や相互変調歪み成分、周波数変換成分が生じる。このような帯域外に漏れ出す電波の成分はスプリアスエミッション(スプリアス発射とも呼ばれ、正確には帯域外発射とスプリアス発射に分けられる)と呼ばれる。
スプリアス発射は同じ通信の他のチャネルや他の通信の妨害となるので、無線通信の種類(無線LANやLTEなど)毎に、中心周波数(搬送波の周波数)からのオフセット周波数でのスプリアス発射の大きさの許容上限レベルが決められている。この許容上限レベルのスペクトラム形状をSEM(スペクトラム・エミッション・マスク)と呼ぶ(例えば、このページの図)。
SEM(スペクトラム・エミッション・マスク)については、以下を参照