デジタル信号処理設計に関する翻訳に、cycle accurate(サイクルアキュレート)という言葉がよく出てくる(例えば、W1717 SystemVueハードウェア・デザイン・キットのp3)。
スマートフォン、タブレットPC、DVD/ブルーレイレコーダーなどの身の回りの電化製品には、システムLSIが組み込まれている。システムLSIとは、その装置(システム)のほとんどの機能を1つのLSIに集約したもので、CPU、メモリ、キャッシュ、バスなどの入出力インタフェース、そのシステム固有のハードウェアエンジンから構成され、近年ますます大規模化、多機能化している。
また、このようなシステムLSIのプロセッサ上で動作するソフトウェアの開発/検証は、短期間で高品質(バグが少なく高性能)に行なう必要があり、ハードウェア設計の早い段階から協調検証ツールとしてプロセッサのシミュレータを使用してハードウェアとソフトウェアのデバッグや性能検証が行われている。ハードウェアの検証では精度が優先され、ソフトウェアの検証では速度が優先される。
プロセッサのパイプラインの動作やキャッシュの動作(クロックサイクル単位での動作で、通常ソフトウェアのプログラマには見えない動作)を模擬できるシミュレーションは、サイクルアキュレートな(サイクル精度の)シミュレーションと呼ばれ、精度は高いが動作速度は遅い。プロセッサの命令セットの命令単位で動作を模擬するシミュレーションは、命令セットシミュレーションと呼ばれ、精度は低いが動作速度は速い。
システムLSIの設計については、以下を参照。