ナノ測定に関する翻訳で、atomic force microscope(原子間力顕微鏡)という言葉がよく出てくる(例えば、ナノ測定ソリューション カタログ)。
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)は、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)の一種である。光や電子の結像により観察を行う光学顕微鏡や電子顕微鏡とは異なり、走査型プローブ顕微鏡は、微小な探針(プローブ)を試料の表面に近づけて、試料と探針間に生じる量子力学的、電磁気学的な物理量の変化を検出しながら試料表面を走査(スキャン)することにより、原子レベルの分解能で試料表面の3次元画像(凹凸)を得る装置である。
走査型プローブ顕微鏡として最初に開発されたものは、1981年にIBM研究所で開発された走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)で、試料と探針間のトンネル電流(量子力学のトンネル効果に起因)を検出して動作するものである。しかし、これは導電性の試料でないと観察できないという欠点があった。これに対して、原子間力顕微鏡は、試料と探針間に働く量子力学的な力(ファンデルワールス力)を検出するもので、絶縁体の試料も観察でき、広く使用されるようになった。
原子間力顕微鏡については、以下を参照