SPDT(Single-Pole Double-Throw)

測定システムの信号ルーティングに使用するスイッチに関する翻訳で、SPDT(Single-Pole Double-Throw)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent RF/ マイクロ波スイッチ セレクション・ガイドのp3)。

SPDT(Single-Pole Double-Throw)は、スイッチの種類の1つで、SPDTスイッチは「単極双投スイッチ」と訳されることもある。

Poleの前のSingleとかDoubleは、スイッチの入力と出力をつないだ状態の接点の数で、Throwの前のSingleとかDoubleは、1つの入力に対して、切り替えることのできる出力の数である(下図参照)。DPDT(双極双投スイッチ)は、トランスファ・スイッチと呼ばれることもある。

スイッチ

スイッチの種類については、以下を参照。

今さら人に聞けないスイッチの基礎1

differential nonlinearity(微分非直線性)

AD変換に関する翻訳で、differential nonlinearity(微分非直線性)という言葉がよく出てくる(例えば、高分解能オシロスコープの評価のp4)。

differential nonlinearity(微分非直線性)は、DNLと略されることもある。また、微分非線形性と訳されることもある。

AD(アナログ-デジタル)変換器の相対誤差には、量子化誤差、オフセット誤差、利得誤差、非直線性誤差がある。量子化誤差は、アナログ信号(連続値)をデジタル信号(離散ステップ値)で近似することにより生じる原理的な誤差である。オフセット誤差は、出力信号がゼロとなる入力信号の値(理想的にはゼロ、すなわち、オフセット誤差がゼロであればゼロ)である。利得誤差は、入力信号と出力信号の関係を表す直線の傾き(比例定数)の理想値からのズレである(理想的には入力信号と出力信号は傾き(比例定数)が1の比例関係にある)。非直線性誤差は、オフセット誤差と利得誤差を補正した後に残る、入力信号(連続値)と出力信号(離散ステップ値)の理想的な直線関係における部分的なズレである。非直線性誤差は、微分非直線性と積分非直線性(integral nonlinearity、INL)で評価される。

微分非直線性(DNL)は、入力信号の微小範囲に対する、出力信号の理想的なステップ変化(AD変換器の量子化単位(1LSB)、12ビットなら1/2^12)からのズレで、LSB単位で表される。積分非直線性(INL)は、入力信号と出力信号の関係を全体に見たみたときの最大のズレで、フルスケールに対する%で表される。

AD変換の誤差については、以下を参照。

センサから始まるシグナルパス(2) 最適なA-D変換器の選択方法

23. A/Dコンバータ(ADC) の23.6.3 ADC変換精度に関する用語定義

reticle(レチクル)

reticle(レチクル)

EDA(Electronic Design Automation)に関する翻訳で、reticle(レチクル)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent EEsof EDA Premier Communications Design Softwareのp5の図5)。

reticleを辞書で調べると「レンズ内の十字線、目盛線」という訳が出てくるが、EDA(特に、半導体製造)では、ガラス基板上に金属薄膜で大規模集積回路(LSI)のマスクパターンが描かれたフォトマスクのことである。このフォトマスクにレーザ光を照射することにより、シリコン・ウェーハ上に大規模集積回路(LSI)が縮小投影される(露光、焼き付けられる)。露光後、感光した部分をエッチング処理し不純物を打ち込むことにより半導体素子が形成される。

半導体製造については、以下を参照。

CANONホームページ > 技術のご紹介 > サイエンスラボ > 光って何?第3章 光を利用する > 半導体露光装置

frequency hopping(周波数ホッピング)

無線通信測定に関する翻訳で、frequency hopping(周波数ホッピング)という言葉がよく出てくる(例えば、Bluetooth RF測定の基礎のp4)。

周波数ホッピングは、スペクトラム拡散通信方式の1つである。スペクトラム拡散通信方式には、周波数ホッピング(FHSS:Frequency Hopping Spread Spectrum)方式と直接拡散(DSSS:Direct Sequence Spread Spectrum)方式がある。周波数ホッピングは、一定時間ごとに搬送波周波数を変化させて(ホッピングさせて)伝送する方式である(Bluetoothでは、625μsごとにランダムに変化させる)。直接拡散方式は、PSKやFSKなどによる1次変調(狭帯域変調)の後に、PN(擬似ランダム・ノイズ)コード(拡散コード)を使って2次変調(広帯域変調)を行う方式である(CDMA方式の携帯電話などで使用されている)。

スペクトラム拡散は、拡散コードが分からなければ傍受が難しく秘匿性に優れ、広帯域に信号を拡散させることにより、干渉/妨害信号やマルチパスに強いという性質がある。

スペクトラム拡散については、以下を参照。

Maxim社ホームページ > 設計 > 技術資料 > チュートリアル「ワイヤレスおよびRF」の「スペクトラム拡散方式の通信について 」(なんと、このページによると、女優と音楽家によって、1941年にスペクトラム拡散通信技術の特許が取られたそうだ。)

電波で情報を送れる仕組み 2