decimation(デシメーション)

デジタイザに関する翻訳に、decimation(デシメーション)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight U5303A PCIe高速デジタイザ、オンボードプロセッシング搭載のp6)。

decimationの動詞decimateは、古代ローマ軍が10人ごとに1人選んで処刑するというのが語源であるが、デジタル信号処理の分野では、デシメーションはサンプリングレート(サンプリング周波数)を下げる(ダウンサンプリング)プロセスを意味する。逆に、サンプリングレートを上げる(アップサンプリング)プロセスはinterpolation(インターポレーション)と呼ばれる。

サンプリングレートが高いと、信号処理に時間がかかったりハードウェアの規模が大きくなるので、デシメーション(サンプルポイントの間引き)を行って、サンプリングレートを下げてデジタル信号処理を行なうことがよくある。

このとき、単にデシメーションを行なうだけでは、間引き後のサンプリングレートの1/2以上の周波数成分によりエリアシング誤差成分が生じる。例えば、サンプルポイントを2つごとに1つ間引くとサンプリングレートが1/2になり、このサンプリングレートの1/2以上の周波数成分(すなわち、間引く前の元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分)が、ナイキストのサンプリング定理から、エリアシング誤差成分の原因になる。この誤差が生じないようにするために、デシメーションの前に元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ(このフィルタをデシメーションフィルタと呼ぶ)に信号を通す必要がある。

デシメーションについては、以下を参照。

サンプリング周波数変換でできる 効率的なFFT分析

受信機のデジタル信号処理

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