electrical length(電気長)

高周波測定に関する翻訳に、electrical length(電気長)という言葉がよく出てくる(例えば、誘電体測定の基礎のp22)。

伝送媒体中の電磁波の速度Vは、伝送媒体の比誘電率をεr、比透磁率をμrとすると、

V = c/√(εr×μr)、(ここで、c=真空中の電磁波の速度)

なので、伝送媒体中の電磁波の速度Vは、真空中の電磁波の速度cより遅くなる(ポリエチレンを充填材(伝送媒体)にした同軸ケーブルでは、εr=2.3、μr=1なので、V=0.66×c)。

また、波の波長(λ)と周波数(f)と速度(v)の間には、λ=v/fという関係があり、真空中と伝送媒体中では周波数(f)は変化しないので、波長(λ)は真空中よりも伝送媒体中の方が短くなる。

以上から、物理的な長さ(物理長)と電気的な長さ(電気長)は、真空中では同じある(電磁波の速度(波長)が変わらないので)が、伝送媒体中では電気長の方が長くなる(電磁波の速度が遅くなる(波長が短くなる)ので)。

伝送ラインの電気長が異なると(ケーブル材料の材質や構造が異なると)、伝搬遅延差が生じ、測定誤差につながる。

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