W、VA、VAR

電源測定に関する翻訳で、W、VA、VARという言葉がよく出てくる(例えば、Keysight Technologies IntegraVision PA2201A パワー・アナライザのp6)。

W、VA、VARは、それぞれ、有効電力、皮相電力、無効電力の単位であるが、有効電力、皮相電力、無効電力そのものを表わすこともある。

有効電力は、実効電力または単に電力と呼ばれることもあり、力学の仕事率と同じ物理量で、蒸気機関を発明したJames Wattに因んでWという単位が用いられている。

皮相電力は、実際に負荷で消費される電力ではなく、電源から負荷に供給される見かけ上の電力で、電圧の実効値と電流の実効値を単に掛けたものなので、電圧を表わす単位V(世界初の電池の発明者Voltaに由来)と電流を表わす単位A(アンペールの法則を発見したAmpereに由来)を合わせてVAという単位が用いられている。

無効電力(reactive power)は、実際に負荷で消費されずに電源に戻る電力であり、皮相電力のうちの無効な部分(Volt-Ampere Reactive)に由来してVARという単位が用いられる。計量法(およびSI単位)では、varと小文字で表記することになっているが、VAR、Var、VArと表記されることもある。

計量法(単位系)については、以下を参照。

新計量法とSI化の進め方-

GaN

半導体デバイス測定に関する翻訳で、GaNという言葉が出てくる(例えば、B1505A パワーデバイス・アナライザ/カーブトレーサのp2)。

半導体には、Si(シリコン)などのように1種類の元素を材料にしているものと、GaAs(ガリウムヒ素)などのように2種類以上の元素を材料にした化合物半導体がある。GaNは、化合物半導体の1つで、ガリウムナイトライド(Gallium Nitride)または窒化ガリウムと呼ばれる。

近年、二酸化炭素の排出削減による地球温暖化の緩和や原子力発電所停止に伴う電力不足の解消のために、電車、電気自動車、太陽光発電などの大電力の制御に使用されている電力変換器(インバータ)の高効率化(低損失化)の要求が高まっている。このような電力変換器に使用されているパワー半導体としては、Si(シリコン)を材料にしたIGBTがある。さらなる、高出力、高効率、高耐圧動作が可能な半導体デバイスとして、GaN(窒化ガリウム)が注目されている。

GaNパワー半導体は、ワイドバンドギャップ半導体と呼ばれ、Si半導体に比べてバンドギャップ幅が約3倍広いので(価電子帯から伝導帯への熱励起が生じ難いので)、高温でもデバイス性能が劣化せず、冷却装置が不要/簡素化できる可能性がある。また、絶縁破壊が生じる電圧(絶縁破壊電界)もSi半導体に比べて約10倍大きいので、薄くて小型のデバイスを作成して寄生容量を低減でき、高速スイッチングが可能なパワー半導体を実現できる。さらに、半導体のオン抵抗は、絶縁破壊電界の3乗に反比例するので、Si半導体に比べて約1/1000のオン抵抗を実現して極めて効率の高い動作が可能になる。

GaNについては、以下を参照。

Panasonicのホームページ > 法人向け商品 > 電子部品、半導体、モータ、記憶デバイス、FA機器、デバイス商品情報と各種ソリューション > 半導体 > パワーデバイス > GaNパワーデバイス

半導体のオン抵抗と絶縁破壊電界の関係については、以下を参照。

オン抵抗と耐圧

SAS(Serial Attached SCSI)

高速広帯域オシロスコープ測定の翻訳で、SAS(Serial Attached SCSI)という言葉がよく出てくる(例えば、Infiniium 90000 Xシリーズ オシロスコープのp2)。

SAS(Serial Attached SCSI)は、ストレージインタフェースの規格である。PCでお馴染みのシリアルATA(Serial Advanced Technology Attachment)規格が、パラレル信号線間の信号遅延や干渉の問題により高速化の限界が見え始めたパラレル伝送方式のUltra ATA(AT Attachment interface)規格をシリアル伝送方式にしたものであるのと同様に、パラレル伝送方式のSCSI(Small Computer System Interface)の後継として、シリアル伝送方式にしたものがSAS(Serial Attached SCSI)である。

シリアルATAが主にPCなどの民生用機器に用いられるのに対して、SASは高速、高信頼性が要求されるサーバに用いられている。SASの転送速度は、2003年に規格化されたSAS 1.0の3.0 Gbpsから最新のSAS 3.0では12 Gbpsに高速化され、現在24 GbpsのSAS 4.0規格が策定中である。

ストレージインタフェースについては、以下を参照。

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