CMM(3次元測定機)

レーザー測定に関する翻訳で、CMMという言葉がよく出てくる(例えば、5530レーザー・キャリブレーション・システム)。

CMMは、Coordinate Measuring Machineの略で、3次元測定機、3次元座標測定機、座標測定機とも呼ばれ、機械部品などの3次元形状の寸法や位置、幾何公差(真直度、平面度、平行度、直角度など)を測定する機械である。

3次元測定機は、プローブ(先端にボールが付いて、それが被測定物に接触すると信号が出力される)が取付けられたアームが、互いに直交するガイド(互いに直交するX軸、Y軸、Z軸)に沿って動き、ボールが被測定物に接触したときの3次元座標を記録する(互いに直交するガイドに沿ったアームの移動距離から、3次元座標がわかる)。例えば、この動画を参照。

これらの座標値から、直線の位置は2点の座標値から、平面や円の位置は3点の座標値から、球体の位置は4点の座標値から求められる。また、平面度、平行度などの幾何公差(幾何学的に正しい図形や位置関係からの許容誤差範囲)も多数の座標点を最小2乗法でフィッテングすることにより求められる。

CMM(3次元測定機)については、以下を参照

ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定

訪問記 精密測定機器作りの元祖

decimation(デシメーション)

デジタイザに関する翻訳に、decimation(デシメーション)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight U5303A PCIe高速デジタイザ、オンボードプロセッシング搭載のp6)。

decimationの動詞decimateは、古代ローマ軍が10人ごとに1人選んで処刑するというのが語源であるが、デジタル信号処理の分野では、デシメーションはサンプリングレート(サンプリング周波数)を下げる(ダウンサンプリング)プロセスを意味する。逆に、サンプリングレートを上げる(アップサンプリング)プロセスはinterpolation(インターポレーション)と呼ばれる。

サンプリングレートが高いと、信号処理に時間がかかったりハードウェアの規模が大きくなるので、デシメーション(サンプルポイントの間引き)を行って、サンプリングレートを下げてデジタル信号処理を行なうことがよくある。

このとき、単にデシメーションを行なうだけでは、間引き後のサンプリングレートの1/2以上の周波数成分によりエリアシング誤差成分が生じる。例えば、サンプルポイントを2つごとに1つ間引くとサンプリングレートが1/2になり、このサンプリングレートの1/2以上の周波数成分(すなわち、間引く前の元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分)が、ナイキストのサンプリング定理から、エリアシング誤差成分の原因になる。この誤差が生じないようにするために、デシメーションの前に元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ(このフィルタをデシメーションフィルタと呼ぶ)に信号を通す必要がある。

デシメーションについては、以下を参照。

サンプリング周波数変換でできる 効率的なFFT分析

受信機のデジタル信号処理

SEM(スペクトラム・エミッション・マスク)

無線通信測定に関する翻訳に、SEMという言葉がよく出てくる(例えば、LTE/LTE-Advanced FDD/TDD Xシリーズ 測定アプリケーションのp5)。SEMは、SEM(スペクトラム・エミッション・マスク)の略である。

無線通信では、電波(搬送波)を変調して情報を送信する。このとき、送信機のアンプやミキサ(周波数アップコンバーター)などの非線形に起因して、情報を送信するために必要な周波数帯域幅(搬送波の周波数を中心にした、変調方式により決まる占有帯域幅)の外に、高調波成分相互変調歪み成分、周波数変換成分が生じる。このような帯域外に漏れ出す電波の成分はスプリアスエミッション(スプリアス発射とも呼ばれ、正確には帯域外発射とスプリアス発射に分けられる)と呼ばれる。

スプリアス発射は同じ通信の他のチャネルや他の通信の妨害となるので、無線通信の種類(無線LANやLTEなど)毎に、中心周波数(搬送波の周波数)からのオフセット周波数でのスプリアス発射の大きさの許容上限レベルが決められている。この許容上限レベルのスペクトラム形状をSEM(スペクトラム・エミッション・マスク)と呼ぶ(例えば、このページの図)。

SEM(スペクトラム・エミッション・マスク)については、以下を参照

Spectrum Emission Mask (SEM) Measurement(英語ページ)