デジタル無線通信測定に関する翻訳に、Eb/N0という言葉がよく出てくる(例えば、W1902 デジタル・モデム・ライブラリのp5の図3)。
Ebは、1ビット当たりのエネルギー(Energy per bit)の略で、S[W]を搬送波のパワー(信号パワー)、B[ビット/s]を情報伝送速度(ビット・レート)とすると、
Eb = S/B[J/ビット]
で定義される。
また、伝送帯域幅をW[Hz]、スペクトラム効率をb[ビット/s/Hz]とすると、B = b×Wなので、
Eb = S/(b×W)[J/ビット] (1)
と表すことができる。
N0は、ノイズ・スペクトラム密度(1Hz当たりのノイズ・パワー)である。N0が周波数に対して一定であるとすると、伝送帯域幅Wでのノイズ・パワーNは、N = N0×W[J/s]なので、SN比は、
S/N = S/(N0×W)と表され、(1)式から、Eb/N0とSN比の関係は、
Eb/N0 = S/N / b
となる。すなわち、Eb/N0とは、SN比をスペクトラム効率でノーマライズしたものである。
言い換えれると、変調方式毎に、Eb/N0に対してビット・エラー・レートをプロットしたもの(例えば、これ)を比較することにより、伝送方式(変調方式)の違い(伝送帯域幅と情報伝送速度の違い)を考慮(ノーマライズ)した比較(許容可能なビット・エラー・レート以下の通信に必要なSN比(送信信号パワー、伝送可能距離)の比較)が可能になる。
Eb/N0については、以下を参照。
Eb/No and SNR(英語サイト)
Eb/N0 Explained(英語サイト)