inverter(インバーター)

電源測定に関する翻訳で、inverter(インバーター)という言葉が出てくる(例えば、IntegraVision PA2200シリーズ パワー・アナライザのp3)。

inverter(インバーター)を直訳すると「逆変換器」であるが、直流を交流に変換する装置をDC-ACインバーターと呼び、交流を直流に変換する装置をAC-DCコンバーター(例:スイッチング電源など)と呼ぶ。また、AC-DCコンバーターとDC-ACインバーターを組み合わせて、一定の電圧と周波数の交流を任意の電圧と周波数の交流に変換する装置をインバーターと呼ぶ。

身近なものでは、インバーターは、商用AC電源周波数の50Hzや60Hzを変化させて、エアコンの圧縮機の交流モーターの回転数を制御して温度を微調整したり、IH炊飯器の微妙な火加減を制御したり、高い周波数に変換して蛍光灯のちらつきを抑えたりするために用いられている。

インバーター(DC-ACインバーター)は、MOSFETIGBTなどの高速な半導体スイッチングデバイスを用いて、直流をスイッチング操作で順方向と逆方向に高速に切り替えることによりパルス波(交流)を生成している。

インバーターの動作原理については、以下を参照。

公益社団法人日本電気技術者協会のホームページ > 音声付き電気技術解説講座 > 理論一般 > 電圧・電流波形のいろいろ(7)(インバータ機器)
コンバータ・インバータとは

scanning microwave microscopy(走査型マイクロ波顕微鏡法)

走査型プローブ顕微鏡に関する翻訳で、scanning microwave microscopy(走査型マイクロ波顕微鏡法)という言葉がよく出てくる(例えば、走査型マイクロ波顕微鏡法(SMM)モード)。

走査型マイクロ波顕微鏡は、走査型プローブ顕微鏡の原理とベクトル・ネットワーク・アナライザを組み合わせたものである。プローブで試料表面を走査(スキャン)しながら、振幅/位相が既知のマイクロ波の入射信号を微小な探針(プローブ)に伝送し、プローブと試料の表面の間の終端(微小な間隙)で生じる反射波の振幅/位相を測定することにより、試料表面の局所的な反射係数(終端インピーダンス)の変化を、走査型プローブ顕微鏡の原子レベルの分解能でイメージング(可視化)することができる。反射係数はキャパシタンスに変換することも可能で、走査型静電容量顕微鏡のように半導体表面を走査して、キャリア分布を可視化できる。

走査型マイクロ波顕微鏡については、以下を参照

九州大学中央分析センター > 刊行物 > センターニュース > Vol.29, No.3(2010)の4.1 SMMシステム概要

Attofarad Capacitance Measurement with Scanning Microwave Microscopy(英語pdf)

Vth

半導体デバイス測定に関する翻訳で、Vthという言葉がよく出てくる(例えば、B1500A半導体デバイス・アナライザのp3)。Vthは、Voltage THreshold(しきい値電圧)の略である。

CPUやメモリなどのLSIには、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor、金属酸化膜半導体)構造のトランジスタ(MOSFET、FETはField Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略)がスイッチング素子として使われている。MOSFETのゲートに電圧(電界)を印加する/しないによる、ソース-ドレイン間の電流のオン/オフ制御(スイッチ)を利用して、論理回路が形成されている。

nチャネル(n型)MOSFETは、p型半導体基板上にチャネル(電気の通り道)と呼ばれる領域を挟んで離れた2箇所にn型半導体領域(一方にソース電極、もう一方にドレイン電極が接続される)がある。チャネル領域の真上には酸化膜(絶縁層)を挟んで金属電極(ゲート電極)が存在する。

ゲート電極に少しずつ正の電圧を印加していくと、絶縁層を挟んだp型半導体基板の多数キャリア(電流の担い手であるホール)が正の電圧に反発してグランドに逃げて、動けないマイナスの電荷が残り、空乏層が形成される(ゲート電圧に応じて空乏層が厚くなっていく)。この状態では、ゲート直下には、動けないマイナスの電荷が残っている空乏層があるだけなので、ドレインに電圧を印加してもソース-ドレイン間に電流は流れない。

さらにゲート電圧を大きくしていくと、空乏層の厚さだけでは対応できなくなり、ソースとドレインのキャリア(電子)がゲート直下に引き寄せられて、ゲート直下のp型半導体が電子の多いn型半導体に反転する(反転層が形成される)。反転層が形成されると、ソースとドレインがn型半導体でつながるので、電流が流れ始める。このときのゲート電圧をしきい値電圧(Vth)と呼ぶ。

MOSFETについては、以下を参照

山形大学大学院理工学研究科廣瀬文研究室 > 半導体デバイス教科書プロジェクト > 第6章 MOSFET

Vthについては、以下を参照。

CMOSアナログのいまさらでも聞きたい!

神様の半導体講座 > カテゴリ > デバイス > 2004年04月12日 トランジスタの動作