秋といえば、けやき。けやきといえば、ビール。
ということで、またまた出掛けてきました。
いつ来ても、会場の熱量に圧倒されてしまいます。毎回予習はしていくのですが、そのとおりに飲めた試しはありません。ただただ、目の前のビールをおいしくいただくことに精一杯となってしまうのでした。
それでは、次回は春。けやきひろばでお会いしましょう。

移動体無線通信測定に関する翻訳に、fading(フェージング)という言葉がよく出てくる(例えば、MIMO受信機テスト 実環境でのMIMO受信機の正確なテストのp2)。
携帯電話などの移動体無線は、複数の基地局でサービスエリアをカバーするセルラー方式が用いられている。特に都市部では、基地局と移動局との間の見通し線路が確保されず、周囲の多数の建物、看板、樹木などにより反射、回折、散乱されて、多数の経路を通った前後左右からの電波を移動局が受信することになる。この結果、電波が複雑に重なり合って定在波が生じ(干渉し)、電波の受信強度が激しく変動する。このような現象を(マルチパス)フェージングと呼ぶ。
強力な見通し波が存在しない場合は、上記のように多数のランダムな経路を通って前後左右からランダムに多数の電波が移動局に到来する。これらの個々の電波(素波)の振幅を同程度とすると、受信信号の同相成分と直交成分の大きさの分布は、中心極限定理から素波の数が多くなると、互いに独立な正規分布(ガウス分布)に近づく。この同相成分と直交成分で表した受信信号は、極座標変換により振幅と位相で表わすことができ、同相成分と直交成分が正規分布の場合には、受信信号の振幅はレイリー(Rayleigh)分布、位相は一様分布となる。これが、レイリー・フェージングと呼ばれるものである。
強力な見通し波も存在する場合は、同相成分と直交成分で表した見通し波の位置を中心にして(強力な見通し波の分だけずれた位置に)、多数のランダムな素波の同相成分と直交成分が正規分布している。これを振幅に変換するとライス(Rician)分布(仲上-ライス分布とも呼ばれる)となり、ライス・フェージングと呼ばれている。
フェージングについては、以下を参照。
ワイヤレスデザインのホームページ > 無線トリビア > のNo.7 : 無ガウス分布・レイリー分布・ライス分布の関係
無線通信のパワーアンプ測定/シミュレーションに関する翻訳で、Memory Effects(メモリ効果)という言葉がよく出てくる(例えば、最新の4G/無線LAN通信システム用ソリューション)。
携帯電話やスマートフォンなどのモバイル無線機器の基地局では、電波を遠くに送信するためにパワーアンプで信号を増幅している。このとき、高効率化(省電力化)のために、パワーアンプを圧縮領域(飽和領域)に近い動作点で使用する。圧縮領域(飽和領域)に近い動作点では、パワーアンプへの入力と増幅後の出力が比例せず、非線形歪み(相互変調歪み)が生じる。非線形歪みが生じると、隣接チャネルへ不要な歪み成分が漏洩し混信の原因になる。このような非線形歪みを補償する手法として、デジタル・プリディストーションがある。デジタル・プリディストーションでは、通常、パワーアンプに入力される信号の瞬時電力に基づいて、歪み補償テーブルを参照してパワーアンプの非線形特性の逆特性をパワーアンプ入力の直前の信号に適用して補償する。
しかし、パワーアンプには、このような瞬時電力に基づいた歪みだけでなく、メモリ効果と呼ばれる歪みが存在する。これは、アンプの出力が現在の入力信号(瞬時電力)だけでなく、過去の入力信号の履歴に依存することにより生じる歪みである。このような歪みは、歪み補償テーブルを使用するデジタル・プリディストーションでは補償できない(現在値より前の過去の履歴をすべて歪み補償テーブルに記録できないので)。
メモリ効果の原因としては、トランジスタの熱応答、キャリアトラップ、バイアス回路やAGCループに使用されるエネルギー蓄積デバイス(コンデンサやインダクタ)に起因した比較的長い時定数(入力の変化に対する、出力の応答時間)によるものと、出力整合回路やフィルタに使用されるエネルギー蓄積デバイスの比較的短い時定数によるものなどがある。
メモリ効果については、以下を参照。
Analysis and Simulation of Memory Effects on Microwave Power Amplifier(英語pdf)