回路シミュレーションに関する翻訳に、ボード線図(Bode Plot)ナイキスト線図(Nyquist Plot)という言葉がよく出てくる(例えば、GoldenGate RFICソリューションのp4)
ある系(伝達システム、伝達回路)が、線形性(重ね合わせの原理が成り立つ)、時不変性(時刻が異なっても入力と出力の関係が同じ)、因果律(系の出力は、過去の入力のみに依存)を満たすとすると、インパルスδ(t)[t=0のときにδ(0)=1、t≠0のときにδ(t)=0となる関数]をこの系に入力したときの出力(インパルス応答、h(t))を測定すれば、この系に任意の時間領域の信号x(t)を入力したときの出力y(t)は、畳み込み積分を用いて、
y(t)=h(t)*x(t)=∫h(τ)x(t-τ)dτ、*は畳み込み積分の記号
と表される。
上の式の両辺をフーリエ変換すると(フーリエ変換の畳み込み定理から)、x(t)のフーリエ変換をX(ω)、y(t)のフーリエ変換をY(ω)として、
Y(ω)=H(ω)X(ω)
となる。ここで、H(ω)はインパルス応答(h(t))のフーリエ変換であり、系の伝達関数と呼ばれる。
H(ω)の大きさ|H(ω)|を周波数ωに対してプロットしたものはゲイン(利得)特性と呼ばれる。
H(ω)の実数成分Re(H(ω))と虚数成分Im(H(ω))で決まる偏角を∠θ(ω)とすると、
∠θ(ω)=tan^(-1)(Im(H(ω))/Re(H(ω)))
と表され、これを周波数ωに対してプロットしたものは位相特性と呼ばれる。
H(ω)の大きさ|H(ω)|と偏角∠θ(ω)を、それぞれ周波数ωに対してプロットしたものがボード線図である。
また、伝達関数H(ω)を、複素平面上で周波数ωを変化させながらプロットしたものはナイキスト線図と呼ばれる。
ボード線図については、以下を参照。
電子回路設計の基礎 – わかりやすい!入門サイト > 第3章 制御工学 入門 6.周波数特性とボード線図