売り方と買い方が二分されたような状態で、両方が積極的に取引をしている局面では値動き(レンジ)が小さくなったりする。そんなときの見出しに。
Award-winning(…)
IT分野のドキュメントでは”受賞歴のある”とか”賞を獲得した”といったような訳語がよく使われる。翻訳依頼側の担当者がそう指定しているのかもしれない。英語がそうなっているし、何となく宣伝になるかも、という理由からだろう。海外では”受賞”とさえ書けば何となく宣伝になるということはわかる。しかし。日本の社会では、何の賞なのかを明記せずに”受賞歴のある”と表記するだけでは、マイナスのイメージを与えかねない。”何の賞?”と聞き返したくもなる。誰も知らない、あるいは権威のない賞なら、宣伝文句としては使わない方がいい。逆効果を生みかねない。具体的な賞名がわからないのであれば、あるいは数多くの賞にでも輝いていない限り、訳すかどうか依頼側の担当者と相談した方がいい。そうでなければ、”評価の高い””定評の””実績を誇る””幅広く高い支持を集める”などと文脈を考えて別の表現を用いた方がスッキリする。業界関係者しか知らない賞であれば、文脈のどこかにそっと添える程度がいい。謙虚さを、日本の読者は見逃さない。”この製品、実はスゲえ!”と感嘆するかも。それが日本かな…。
uncertainty(不確かさ)
計測器の翻訳で”uncertainty”という言葉がよく出てくる。例えば、スペクトラム・アナライザの振幅確度の最適化がある。
測定結果の信頼性を表す言葉として測定誤差というのがある。「測定誤差」は、「測定値」-「真の値」で定義され、概念として分かり易いが、「真の値」という不可知の量が定義に含まれているという原理的な困難がある。また、測定結果の信頼性を表す方法が技術分野や国によって異なるという問題もあった。そこで、国際標準化機構(ISO)を中心にして、「計測における不確かさの表現のガイド」(Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement、GUM)が出版され、測定結果の信頼性を表す指標として、「不確かさ」(uncertainty)が導入された。そこでは、「不確かさ」は以下のように定義されている。
測定の結果に付随した、合理的に測定量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ(parameter, associated with the result of a measurement, that characterizes the dispersion of the values that could reasonably be attributed to the measurand)
真の値や誤差という不可知の量を、定義の中で参照することを避けたために、このような回りくどい表現になっている。
不確かさについてのリンクを、以下に挙げておく。