Transfer per second(T/s)

計測器の翻訳に、T/s(Transfer per second)という単位が出てくる。例えば、PCI ExpressR rev. 3.0のレシーバ・ストレス・テストで信号を正確に校正することにより、8 GT/sのデータ・レートでの相互運用性を保証がある。

1 T/s(Transfer per second)とは、「1秒間にデータを1個転送する」ことである。データ転送速度にTransfer per secondが使われるのは、バス幅(DIMMモジュールのバス幅が64ビット、グラフィック・カードのメモリ・バス幅が256ビットというように表現される)や1クロック当たりのデータの転送個数(DDRメモリでは2個、DDR2メモリでは4個、DDR3メモリでは8個)などによりデータ転送速度が変わるからである。

例えば、DIMMモジュールのDDR3-1600(PC3-12800)という表記では、1600は1600 MT/s(200 MHz(クロック周波数) × 8(1クロック当たりのデータの転送個数))の意味で、12800は12800 MB/s(1600 MT/s × 64(バス幅) / 8(1バイトは8ビット) =12800 MB/s)の意味である。DDR3メモリの動作(クロック)周波数が200 MHzといってもデータ転送速度の指標にならないのである。

harmonic(高調波)

計測器の翻訳に、”harmonic”(高調波)という言葉がよく出てくる。これは、非線形デバイス(入力と出力の関係が線形(比例)でないデバイス。理想的なアンプは出力が入力に比例する線形デバイス)に1つの正弦波信号(周波数ω)を入力したときに、出力に現れる周波数がnω(n=2、3、…)の複数の正弦波信号である。楽器や音響工学では倍音と呼ばれる。

図に示すように、入力電圧Vinとして1つの正弦波を非線形デバイスに印加する。このとき、デバイスの非線形性(デバイスの出力電圧Vout)が、Vinのn次多項式で表わされるとする。Voutの式にVin=A1cosωtを代入し、三角関数の公式を使って整理することにより、出力電圧に周波数ωの基本波成分、周波数2ωの2次高調波成分(2次高調波歪み)、周波数3ωの3次高調波成分(3次高調波歪み)、…、周波数nωのn次高調波成分(n次高調波歪み)が現れる。

” total harmonic distortion “(全高調波歪み)という言葉もよく出てくるが、これは、図に示すように、基本波の実効値(RMS)電圧に対する、全ての高調波の実効値電圧の2乗和平方根として定義される。一般的に、高調波成分の振幅は、次数が大きくなると減少する傾向にあるので、全高調波歪みを測定するときには、有限の値の次数を指定する。

Système International d’Unités(SI単位系)

計測器の翻訳では、さまざまな単位が出てくる。日本では一部の例外を除き、計量法に準拠してSI単位系で表記する必要があるが、アメリカ合衆国などではヤード・ポンド法で表記されることもあるので、翻訳に際して変換する必要があり厄介である。

SI単位系とはフランス語の”Système International d’Unités”の略称である。国際単位系とも呼ばれる。起源は、国際的に単位を統一しようという目的で1875年にフランスで締結されたメートル条約である。

SI単位には、基本単位と組立単位がある。基本単位には、長さ(メートル、m)、質量(キログラム、kg) 、時間(秒、s)、電流(アンペア、A)、温度(ケルビン、K)、光度(カンデラ、cd)、物質量(モル、mol)の7種類がある。組立単位は、基本単位の乗除だけで表される 。詳細については、以下のリンクを参照。

独立行政法人 計量標準センター 国際単位系