FEM(有限要素法)

電磁界シミュレーションに関する翻訳に、FEM(有限要素法)という言葉がよく出てくる(例えば、EMPro 3次元電磁界モデリング/シミュレーション環境とADSデザインフローの統合)。

電磁界シミュレーションの手法には、大きく3つの手法(有限要素法、モーメント法FDTD法)がある。FEMは、Finite Element Method(有限要素法)の略である。

電子デバイスの高周波化/高密度化にともなって、伝送線路が電磁界による相互作用によりL成分やC成分を持つようになる。また、伝送線路も複雑な形状になり、電磁相互作用を解析的に(方程式を立てて式変形して)直接解くことはできない。このような場合は、問題の領域を離散化して数値的に解く必要がある。これを行うための手法の1つが有限要素法である。有限要素法を簡単に説明するのは難しいが、概要は以下のようである。

モーメント法は、求めたい未知の関数f(x)が電流や電荷なので、それを3次元領域全体に配置する必要がなく、電界g(x)が与えられたとして、支配方程式である

L(f(x))=g(x)、Lは微分演算や積分演算などを含む適当な線形演算子

を離散化(未知関数f(x)を基底関数で展開し、重み関数を用いて、残差がゼロになるという条件から(重み付き残差法と呼ばれる)、微積分方程式を行列方程式(離散方程式)に変換)して求める方法であった。これに対して、有限要素法は、電磁界に関する微分方程式の境界値問題を、それと等価な汎関数の極値を求める問題(変分問題)に置き換え、汎関数を離散化して求める方法である。その際、3次元領域を小さな要素に分割し、各要素毎に重み付き残差法(未知の電磁界を基底関数で展開する)を適用して離散方程式を求め、それらを接続して系全体の離散方程式を組み立てる方法である。

有限要素法については、以下を参照
平野拓一氏のホームページ > 電磁界解析 > 有限要素法(FEM; Finite Element Method) > em04.pdf ・・・ 有限要素法の理論

電磁界シミュレーションの概要と基礎原理-簡単な1次元問題による説明-

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