interleave(インタリーブ)

デジタイザやオシロスコープに関する翻訳で、interleaving(インタリーブ)という言葉がよく出てくる(例えば、M9703A AXIe高速デジタイザ/広帯域デジタル・レシーバのp2)。

デジタイザやオシロスコープには、アナログ信号をサンプリングしてデジタル信号に変換するために、A/Dコンバータが搭載されている。しかし、A/Dコンバータのサンプリング・レートには限界があるため、高速なアナログ信号をリアルタイムにサンプリングするための手法として、インタリーブ・サンプリングが用いられている。

インタリーブ・サンプリングとは、複数のA/Dコンバータを並列動作させることにより、サンプリング・レートを向上させる手法である。例えば、2個のA/Dコンバータ(ADC1とADC2)を並列動作させる場合は、ADC1とADC2に供給するサンプリング・クロックの位相を180度ずらすことにより、(1個のA/Dコンバータ単独での隣接サンプリング・ポイント間のちょうど真ん中でサンプリングされるので)1個のA/Dコンバータ単独での動作の2倍のサンプリング・レートが実現される。インタリーブ・サンプリングにより、N個のA/Dコンバータを並列動作させると、N倍のサンプリング・レートが得られるが、並列動作させるA/Dコンバータの特性の不一致やA/Dコンバータに供給するクロックの位相遅延誤差により、A/D変換された波形にインターリーブ歪みが生じるという問題がある。

インタリーブ・サンプリングについては、以下を参照。

オシロスコープのサンプリング・レートとサンプリング忠実度の評価:
正確なデジタル測定の方法
のp6~p14

haversine(ハーバーサイン)

任意波形発生器に関する翻訳に、haversine(ハーバーサイン)という言葉がよく出てくる(例えば、33600Aシリーズ Trueform波形発生器のp15)。

三角比は、直角三角形の2つの辺の比であり、sine(正弦)、cosine(余弦)、tangent(正接)がよく知られている。

ほとんど知られていない三角比として、versine(正矢)というものがあり、

versine(正矢)=1-cosine(余弦)

である。versine(正矢)の半分がhaversine(半正矢、ハーバーサイン)であり、

haversine(半正矢)=(1-cosine(余弦))/2

である。ハーバーサイン波は衝撃試験装置の波形などに使用される。

haversine(ハーバーサイン)については、以下のサイトを参照。

三角関数 sin cos tan

random jitter(ランダム・ジッタ)、deterministic jitter(デターミニスティック・ジッタ)

高速デジタル・デザインのシグナル・インテグリティに関する測定やシミュレーションの翻訳で、random jitter(ランダム・ジッタ)、deterministic jitter(デターミニスティック・ジッタ)という言葉がよく出てくる(例えば、ジッタ分離を用いた高速デジタル・デザイン向けシミュレーションの革新的ワークフローのp3)。

ジッタとは、信号波形の時間軸方向のゆらぎである。デジタル信号では、理想的なデジタル波形がロジック遷移の(0と1を区別する)しきい値と交差する時間位置と、そのデジタル信号の実際のアナログ波形がロジック遷移のしきい値と交差する時間位置との差がジッタである。ジッタが大きいと、アイ・パターンで水平方向(時間軸方向)にアイが閉じる原因となり、ビット・エラー・レートを悪化させる。

ジッタは、ランダム・ジッタとデターミニスティック・ジッタの2つの成分に大きく分類される。

ランダム・ジッタは、回路内の熱雑音、フリッカ・ノイズ、ショット・ノイズなどのランダム・プロセス(確率的にランダムに発生する事象)に起因するもので予測が不可能である。したがって、時間軸方向のゆらぎの大きさはガウス分布に従い、理論上大きさが-∞~+∞のジッタが存在する(確率密度関数に境界のない(非有界)ジッタである)が、大きなジッタの発生頻度は極めて低い。このことから、ランダム・ジッタの大きさは、分布の幅(標準偏差σ)で評価され、アイ・パターンにはロジック遷移を表わす軌跡の幅(不明瞭さ)として現れる。

デターミニスティック・ジッタは、確定的ジッタや決定論的ジッタと訳されることもある。これは、システムに関する情報がすべてわかっていれば、原理的に正確に予測できるもので、同一のデータでは常に同一のジッタが生じ、アイ・パターンでは、ロジック遷移を表わす軌跡の形状として現れる。デターミニスティック・ジッタの大きさの分布は、ランダム・ジッタとは異なり、境界がある(有界な)ので、分布のp-p値で評価される。

デターミニスティック・ジッタは、周期ジッタとデータ依存ジッタに分けられる。周期ジッタは、周期的に繰り返されるジッタであり、システムと結合している外部のスイッチング電源ノイズなどのデターミニスティックなノイズ源に起因したものであり、ビット・ストリームの0、1のパターンには依存しない非相関ジッタである。データ依存ジッタは、ビット・ストリームの0、1のパターンに依存する相関ジッタで、波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間が等しくなかったり、ロジック遷移を決定するしきい値が変動することによって生じるデューティ・サイクル歪みや、0または1が連続すると伝送線路のローパス・フィルタ特性により0と1の遷移部分で波形が干渉するシンボル間干渉に起因したものである。

ランダム・ジッタとデターミニスティック・ジッタについては、以下を参照。

クロック・ジッタ解析によるシリアル・データのBERの低減のp6~7を参照