Inter-Symbol Interference(符号間干渉)

高速データ通信測定に関する翻訳に、Inter-Symbol Interference(符号間干渉)という言葉がよく出てくる(例えば、高速データ・レートでのジッタ解析のp3)。Inter-Symbol Interference(符号間干渉)は、ISIと略されることがある。また、シンボル間干渉と訳されることもある。

符号間干渉とは、隣り合う符号同士が干渉して波形が歪む現象である。デジタル・データは、符号化(特定の信号波形で「0」、「1」を表す)して送受信される。最も単純な符号化である、ある一定の期間、高い(Hi)電圧の状態を維持している状態を「1」、低い(Lo)電圧の状態を維持している状態を「0」として、デジタル・データを送受信する場合を考える。

理想的には、データが「1」から「0」や「0」から「1」に変化する時間ポイントでの波形の変化(ここでは、Hi電圧からLo電圧やLo電圧からHi電圧への遷移)は一瞬であり、データは方形波として伝送される。

しかし、高速データ伝送(高周波成分が含まれる)では、伝送線路の表皮効果(周波数が高くなると、導体の表面近くにしか電流が流れなくなり抵抗が増加する現象)や誘電損失(周波数が高くなると、伝送路を構成する誘電体の電気分極が周波数に追随できずに伝送エネルギーの一部が熱となって損失する現象)により、伝送線路がローパス・フィルタのように振る舞う。

方形波の遷移ポイントは急峻な変化をしているので、高周波成分を含んでいることになるが、データ伝送が低速の場合(すなわち、データの「1」や「0」を表すHi電圧やLo電圧の期間が長い場合)は、ローパス・フィルタによるこれらの高周波成分の減衰に起因する方形波の遷移ポイントのなまり(Hi電圧からLo電圧やLo電圧からHi電圧への遷移が緩やかになること)は、後続の符号(信号波形)に影響を与えない。

データ伝送が高速の場合(すなわち、データの「1」や「0」を表すHi電圧やLo電圧の期間が短い場合)は、方形波の遷移ポイントのなまりが後続の符号と重なり(干渉)し、後続の符号が「0」を表す波形か「1]を表す波形かの判定が困難になる。これを、符号間干渉と呼ぶ。

符号間干渉については、以下を参照

リアルタイム・ジッタ解析によるジッタ発生源の検出のp5~p6

コメントは受け付けていません。