Time Domain Reflectometry(TDR)

計測関係の翻訳に、高速デジタル伝送(PCI Express、シリアルATA、HDMI、USB3.0など)の普及に伴い、TDRという言葉が最近よく出てくる。

理想的なデジタル・パルス波形には、無限に高い高調波成分(高周波成分)が含まれるが(矩形波のフーリエ級数展開、参考:フーリエ級数展開)、周波数が高いほど、インピーダンスの不連続部(コネクタや伝送線路の曲がった部分など)での反射により波形が歪み(参考:FPCの高周波特性の一考察の図1)、誤動作の原因になる。TDRとは、ステップ・ジェネレータとオシロスコープを使用して、高速なパルス・エッジをDUTに入力し、その一部がインピーダンスの不連続部で反射して戻ってくる波形をモニタすることにより、インピーダンスの不連続部の位置と種類(抵抗性、容量性、誘導性)を特定するための手法である。

TDRの詳細については、以下を参照。

タイム・ドメイン・リフレクトメトリの原理
ベクトル・ネットワーク・アナライザとオシロスコープによるTDR測定の相関の検証と性能の比較

dBm(Decibel-milliwatt )

計測関係の翻訳に、dBmという単位がよく出てくる。

dBmを理解するには、まずdB(デシベル)を理解する必要がある。dBは、相対値(ある基準量に対する比)であり、次元(物理量の単位)のない量である。例えば、P1 [W]の電力を増幅器に入力して、出力がP2 [W]になると、増幅器の電力利得は、P2/P1倍である。ここで、P2/P1という量は相対値(P2はP1を基準にして何倍になっているかを表す)である。dBという単位は、このP2/P1に対して底が10の対数(常用対数)をとって10倍したものである。簡単な数値例として、入力を1 [W]、出力を2 [W]とすると、この増幅器の電力利得(dB単位)は、10×Log(2 [W]/1 [W])=10×0.301=3 dBとなる。

dBmは、1 [mW]を0 dBmとして、絶対値(電力という物理量の値)を表すものである。式で書くと、dBm=10LogP[mW]となる。簡単な数値例として、1 [W]の電力をdBm単位で表すと、1 W=1000 mWだから、10×Log1000=10×3=30 dBmとなる。

dBについては、以下のサイトを参照。

無線LANでよく見かけるdBなる単位について

differential signal(差動信号)

計測関係の翻訳に、differential signal(差動信号)という言葉がよく出てくる(参考:タイム・ドメイン・リフレクトロメトリを使用した差動インピーダンス測定)。

信号をグランドに対する電位差として1本の信号線で伝送する方式を、不平衡伝送 (unbalanced transmission) と呼び、その信号をシングルエンド信号と呼ぶ。これに対して、信号を位相が180°異なる2本の信号線(信号線ペア)の電位差で伝送する方式を平衡伝送 (balanced transmission) と呼び、その信号を差動信号と呼ぶ。差動信号はシングルエンド信号に比べて、コモン・モード・ノイズに強く(2本の信号線に同じノイズが乗ると、受信端で逆相の信号を位相反転して合成するときにノイズが打ち消される)、信号振幅を小さくして0と1の間の遷移時間を短くして高速伝送できるという特長がある。これらの特長により、現在のほとんどの高速デジタル伝送(PCI Express、シリアルATA、HDMI、USBなど)に使用されている。

差動伝送については、以下を参照。

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