PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)

波長可変レーザー光源に関する翻訳に、PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)という言葉がよく出てくる(例えば、8160xxシリーズ 波長可変レーザー光源のp2)。PONは、Passive Optical Networkの略である。

現在、通信事業者の中継局から加入者宅に光ファイバ回線を直接引き込むFTTH(Fiber To The Home)が普及している。

中継局と加入者宅の間のアクセス・ネットワーク(アクセス網)のネットワーク構成には、専有型(SS(Single Star)方式とも呼ばれ、中継局と加入者宅を1本の光ファイバで1対1で結ぶ方式)と共用型(中継局と加入者宅の間に光ケーブルの分岐ポイントがあり、1本の光ファイバを複数の加入者が共有する方式)の2つの形態がある。

共用型のネットワーク構成は、AON(Active Optical Network)方式とPON(Passive Optical Network)方式に分けられる。AON方式は、中継局と加入者宅の間のノードに能動(アクティブ)素子で構成された電気光変換装置や多重化装置を配置して、1本の光ファイバを分岐する方式である。PON方式は、光スプリッタなどの受動(パッシブ)部品で構成された装置を配置して、1本の光ファイバを分岐する方式である。

PON方式は、AON方式に比べて、安価で保守も容易なので広く普及している。NTTの光回線を使用している場合は、GE-PON-ONU(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network-Optical Network Unit)と呼ばれる光回線終端装置が宅内に設置されているはずである。

PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)については、以下を参照。

NTTグループのホームページ > 研究開発 > NTT技術ジャーナル > バックナンバー > 2005 vol.17 No.8 > GE-PON技術――第1回 PONとは

CMM(3次元測定機)

レーザー測定に関する翻訳で、CMMという言葉がよく出てくる(例えば、5530レーザー・キャリブレーション・システム)。

CMMは、Coordinate Measuring Machineの略で、3次元測定機、3次元座標測定機、座標測定機とも呼ばれ、機械部品などの3次元形状の寸法や位置、幾何公差(真直度、平面度、平行度、直角度など)を測定する機械である。

3次元測定機は、プローブ(先端にボールが付いて、それが被測定物に接触すると信号が出力される)が取付けられたアームが、互いに直交するガイド(互いに直交するX軸、Y軸、Z軸)に沿って動き、ボールが被測定物に接触したときの3次元座標を記録する(互いに直交するガイドに沿ったアームの移動距離から、3次元座標がわかる)。例えば、この動画を参照。

これらの座標値から、直線の位置は2点の座標値から、平面や円の位置は3点の座標値から、球体の位置は4点の座標値から求められる。また、平面度、平行度などの幾何公差(幾何学的に正しい図形や位置関係からの許容誤差範囲)も多数の座標点を最小2乗法でフィッテングすることにより求められる。

CMM(3次元測定機)については、以下を参照

ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定

訪問記 精密測定機器作りの元祖

decimation(デシメーション)

デジタイザに関する翻訳に、decimation(デシメーション)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight U5303A PCIe高速デジタイザ、オンボードプロセッシング搭載のp6)。

decimationの動詞decimateは、古代ローマ軍が10人ごとに1人選んで処刑するというのが語源であるが、デジタル信号処理の分野では、デシメーションはサンプリングレート(サンプリング周波数)を下げる(ダウンサンプリング)プロセスを意味する。逆に、サンプリングレートを上げる(アップサンプリング)プロセスはinterpolation(インターポレーション)と呼ばれる。

サンプリングレートが高いと、信号処理に時間がかかったりハードウェアの規模が大きくなるので、デシメーション(サンプルポイントの間引き)を行って、サンプリングレートを下げてデジタル信号処理を行なうことがよくある。

このとき、単にデシメーションを行なうだけでは、間引き後のサンプリングレートの1/2以上の周波数成分によりエリアシング誤差成分が生じる。例えば、サンプルポイントを2つごとに1つ間引くとサンプリングレートが1/2になり、このサンプリングレートの1/2以上の周波数成分(すなわち、間引く前の元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分)が、ナイキストのサンプリング定理から、エリアシング誤差成分の原因になる。この誤差が生じないようにするために、デシメーションの前に元の信号のサンプリングレートの1/4以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ(このフィルタをデシメーションフィルタと呼ぶ)に信号を通す必要がある。

デシメーションについては、以下を参照。

サンプリング周波数変換でできる 効率的なFFT分析

受信機のデジタル信号処理