UI(ユニット・インターバル)

UI(ユニット・インターバル)

ジッタ測定に関する翻訳で、UI(ユニット・インターバル)という言葉がよく出てくる(例えば、クロック・ジッタ解析によるシリアル・データのBERの低減のp24の「位相雑音とジッタ」)。UIは、Unit Intervalの略である。

UI(ユニット・インターバル)とは、1クロック周期(デジタル信号(ビット列)の1つのビットの長さ)に対応する時間である。ジッタとはデジタル信号の時間軸上の揺らぎであり、その大きさをUI(ユニット・インターバル)を単位として表すことが多い。

UI(ユニット・インターバル)については、
株式会社アルティマの新人エンジニアの赤面ブログ 『クロック信号の精度表記について』の「UI (ユニットインターバル)について」の図を参照。

de-emphasis(ディエンファシス)

高速デジタル伝送に関する測定の翻訳で、de-emphasis(ディエンファシス)という言葉がよく出てくる(例えば、N4965AマルチチャネルBERT 12.5 Gb/sのp2)。

PCI Express、USB3.0、シリアルATA、HDMIなどの高速シリアル・インタフェースでは、数Gbpsあるいは数十Gbpsでのデータレートで高速伝送が行われる。このような高速伝送では、高周波成分の損失が大きくなり、伝送線路がローパス・フィルタとして働き、歪みにより符号間干渉が生じアイ・パターンがつぶれる。そこで、伝送線路を通った後の高周波成分の減衰に合わせて、あらかじめ送信側で低周波成分を減衰させておき、伝送線路を通った後でちょうどバランスするようにして、歪みをなくすことによりアイを開く。この手法をディエンファシスと呼ぶ。

ディエンファシスとは逆に、伝送線路を通った後の高周波成分の減衰に合わせて、あらかじめ送信側で高周波成分を持ち上げておき、伝送線路を通った後でちょうどバランスするようにして歪みをなくし、アイを開く手法をプリエンファシスと呼ぶ。しかし、プリエンファシスを行うと振幅が大きくなり信号の遷移時間が長くなるので、高速伝送では不利になる。

また、受信側で高周波成分の損失をイコライザで持ち上げる手法もある。

ディエンファシスについての詳細は、以下を参照。
USB 3.0規格のFAQ(2) ―― SuperSpeed USBはいかにして高速伝送を実現しているのか?

LVDSを基礎から理解する、さらなる高速/長距離化を可能にする技術(後編)

kTB

測定器のノイズに関する性能で、kTBという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent スペクトラム解析の基礎の第5章 感度と雑音(p46))。これは、熱雑音のレベル(パワー)を表す式である。ここで、k=ボルツマン定数、T=温度、B=ノイズ測定時の帯域幅である。

導体や抵抗体に電圧を印加すると電流が流れるのは、その中に、キャリア(電流を運ぶ担い手である伝導電子や正孔)が存在するからである。この電子や正孔は、電圧を印加していない状態ではじっと静止しているわけでなく、熱(温度T)によりランダムに運動している。この運動エネルギーが熱雑音パワー(kTB)の正体である。

kTBの導出については、以下を参照。
受信機 高性能化―理論と実際(関 英男著)の「3.2 雑音」(p42~p44)
干渉計サマースクール2005 教科書の「1.3.6 パワーの温度換算」(p14~p15)