de-emphasis(ディエンファシス)

高速デジタル伝送に関する測定の翻訳で、de-emphasis(ディエンファシス)という言葉がよく出てくる(例えば、N4965AマルチチャネルBERT 12.5 Gb/sのp2)。

PCI Express、USB3.0、シリアルATA、HDMIなどの高速シリアル・インタフェースでは、数Gbpsあるいは数十Gbpsでのデータレートで高速伝送が行われる。このような高速伝送では、高周波成分の損失が大きくなり、伝送線路がローパス・フィルタとして働き、歪みにより符号間干渉が生じアイ・パターンがつぶれる。そこで、伝送線路を通った後の高周波成分の減衰に合わせて、あらかじめ送信側で低周波成分を減衰させておき、伝送線路を通った後でちょうどバランスするようにして、歪みをなくすことによりアイを開く。この手法をディエンファシスと呼ぶ。

ディエンファシスとは逆に、伝送線路を通った後の高周波成分の減衰に合わせて、あらかじめ送信側で高周波成分を持ち上げておき、伝送線路を通った後でちょうどバランスするようにして歪みをなくし、アイを開く手法をプリエンファシスと呼ぶ。しかし、プリエンファシスを行うと振幅が大きくなり信号の遷移時間が長くなるので、高速伝送では不利になる。

また、受信側で高周波成分の損失をイコライザで持ち上げる手法もある。

ディエンファシスについての詳細は、以下を参照。
USB 3.0規格のFAQ(2) ―― SuperSpeed USBはいかにして高速伝送を実現しているのか?

LVDSを基礎から理解する、さらなる高速/長距離化を可能にする技術(後編)

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