near-end crosstalk(近端クロストーク)、far-end crosstalk(遠端クロストーク)

高速デジタル信号測定に関する翻訳で、near-end crosstalk(近端クロストーク)、far-end crosstalk(遠端クロストーク)という言葉がよく出てくる(例えば、リアルタイムオシロスコープ用クロストーク解析アプリケーションのp4)。

crosstalk(クロストーク)は漏話と呼ばれるように、昔のアナログ電話回線で他人の電話が漏れて聞こえる現象であるが、高速デジタル回路では、隣接する信号線間で、片方の伝送路のデジタル信号が(0から1や1から0に)変化したときに、信号線間の容量性結合や誘導性結合により、その一部がもう一方の伝送路に漏れる現象である。

隣接する2つの信号線に流れている信号の方向が反対の場合は、一方の信号線のドライバの位置にもう一方の信号線のレシーバが存在するので、クロストークを与える側(アグレッサと呼ばれる)のドライバから見ると、そのドライバの近くのレシーバが影響を受ける側(ビクティムと呼ばれる)となるので、近端クロストークと呼ばれる。

隣接する2つの信号線に流れている信号の方向が同じ場合は、一方の信号線のドライバの位置にもう一方の信号線のドライバが存在し、それらと反対側にそれぞれのレシーバが存在するので、クロストークを与える側のドライバから見ると、ドライバの反対側に存在する遠くのレシーバが影響を受ける側となるので、遠端クロストークと呼ばれる。

最近の高速デジタル回路の高速化、高密度化に伴い、クロストーク解析が極めて重要になっている。

近端クロストーク、遠端クロストークについては、以下を参照

株式会社 エルセナのホームページ > 技術情報 > スペシャリストコラム シグナル・インテグリティを解説 > 第8回 クロストーク入門

E-UTRA

無線通信計測関係の翻訳に、E-UTRAという言葉がよく出てくる(例えば、LTE/LTE-Advanced FDD/TDD用Signal Studio N7624B/N7625B)。

移動通信システムは、第1世代(アナログ方式の自動車/携帯電話)、第2世代(PDCやGSM方式のデジタル携帯電話)、第3世代(W-CDMAやCDMA2000方式の携帯電話)、第3.9世代(LTE)、第4世代(LTE-Advanced)と進化してきている。

第3世代からは、アメリカ、ヨーロッパ、日本、韓国の標準化団体により1998年12月に設立された3GPP(Third Generation Partnership Project)という標準化プロジェクトが技術仕様の検討、作成を行っている。この標準化プロジェクトにより、第2世代までの携帯電話は海外に持って行っても使用できなかったが、第3世代以降の携帯電話は使用できるようになっている。

UTRAは、Universal Terrestrial Radio Accessの略で、3GPPにおける第3世代の無線インタフェース技術の呼称である。E-UTRAは、Evolved Universal Terrestrial Radio Accessの略(UTRAを進化させたもの)で、3GPPにおける第3.9世代(LTE)の無線インタフェース技術の呼称である。

LTEについては、以下を参照。

一般社団法人 映像情報メディア学会のホームページ > 記事を読む > 知っておきたいキーワード > LTE

FEM(有限要素法)

電磁界シミュレーションに関する翻訳に、FEM(有限要素法)という言葉がよく出てくる(例えば、EMPro 3次元電磁界モデリング/シミュレーション環境とADSデザインフローの統合)。

電磁界シミュレーションの手法には、大きく3つの手法(有限要素法、モーメント法FDTD法)がある。FEMは、Finite Element Method(有限要素法)の略である。

電子デバイスの高周波化/高密度化にともなって、伝送線路が電磁界による相互作用によりL成分やC成分を持つようになる。また、伝送線路も複雑な形状になり、電磁相互作用を解析的に(方程式を立てて式変形して)直接解くことはできない。このような場合は、問題の領域を離散化して数値的に解く必要がある。これを行うための手法の1つが有限要素法である。有限要素法を簡単に説明するのは難しいが、概要は以下のようである。

モーメント法は、求めたい未知の関数f(x)が電流や電荷なので、それを3次元領域全体に配置する必要がなく、電界g(x)が与えられたとして、支配方程式である

L(f(x))=g(x)、Lは微分演算や積分演算などを含む適当な線形演算子

を離散化(未知関数f(x)を基底関数で展開し、重み関数を用いて、残差がゼロになるという条件から(重み付き残差法と呼ばれる)、微積分方程式を行列方程式(離散方程式)に変換)して求める方法であった。これに対して、有限要素法は、電磁界に関する微分方程式の境界値問題を、それと等価な汎関数の極値を求める問題(変分問題)に置き換え、汎関数を離散化して求める方法である。その際、3次元領域を小さな要素に分割し、各要素毎に重み付き残差法(未知の電磁界を基底関数で展開する)を適用して離散方程式を求め、それらを接続して系全体の離散方程式を組み立てる方法である。

有限要素法については、以下を参照
平野拓一氏のホームページ > 電磁界解析 > 有限要素法(FEM; Finite Element Method) > em04.pdf ・・・ 有限要素法の理論

電磁界シミュレーションの概要と基礎原理-簡単な1次元問題による説明-