Skip Ordered Set(スキップ・オーダード・セット)

高速シリアル・データ通信測定に関する翻訳に、Skip Ordered Set(スキップ・オーダード・セット)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight J-BERT M8020A 高性能BERTのp24)。

PCI ExpressやUSB 3.0などの高速シリアルデータ通信では、送信側と受信側を同期するために、エンベデッド・クロック(クロックをデータに埋め込んで伝送する方式)が用いられていて、受信側でクロック・リカバリを行ってデシリアライズするので、デシリアライズ段階では送信側と受信側のクロック周波数の差に起因する、データの欠損や重複が生じることはない。しかし、それ以降のロジック段階(8b/10bデコードや128b/130bデコード段階)で、異なるクロック源を使用している場合は、クロック周波数の差による影響が生じる。

このようなクロック周波数の差によるデータの欠損や重複が生じるのを防ぐために、送信側ではスキップ・オーダード・セットと呼ばれるダミー文字列を定期的に挿入している。受信側では、デシリアライズ段階とデコード段階の間に受信したデータを一時的に格納するエラスティック(弾性)バッファを設けて、送信側のデータレートが遅い場合はスキップ・オーダード・セットを削除し、送信側のデータレートが速い場合はスキップ・オーダード・セットを挿入することにより、クロック周波数の差を吸収して、データの欠損や重複が生じないようにしている。

スキップ・オーダード・セットについては、以下を参照。

【連載】高速シリアル・インタフェース測定の必須スキルを身に着ける第6回シリアル・インタフェースの物理層を形成する3大要素 – レシーバの「エラスティック・バッファ(弾性バッファ)」

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