オシロスコープ測定に関する翻訳で、floating measurement(フローティング測定)という言葉がよく出てくる(例えば、オシロスコープ用プローブおよびアクセサリのp3)。
フローティング測定とは、グランドに接続されていない(グランド電位にない)任意の2つのポイント間の電圧差を測定することである。
標準的なAC電源で動作するオシロスコープのシャーシ・グランドは、AC電源ゴードのアース線を経由してアース・グランドに接続されている。また、オシロスコープのプローブにもグランド・リードがあり、通常は、それを被測定回路のグランド(このグランドもAC電源ゴードのアース線経由でアース・グランドに接続されている)に接続した後、任意のテスト・ポイントにプローブの先端を当てて、そのポイントの(グランドに対する)電圧を測定する。このようにすることにより、共通で安全なグランド電位を基準にした測定ができる。
しかし、AC電源で動作するオシロスコープでフローティング測定を行うと(すなわち、プローブのグランド・リードを被測定回路のグランド電位にないポイント(グランドから浮いたポイント、フローティング・ポイント)に接続して測定を行うと)、プローブのグランド・リード、オシロスコープのシャーシ・グランド、アース・グランドを経由して、被測定回路内のグランド電位にないポイントが、被測定回路のグランドとつながってしまう(短絡してしまう)ので、グランド・リードが焼き切れたり、被測定回路が損傷する。
これを避けるために、オシロスコープでフローティング測定を行う場合は、差動プローブが使用される。
フローティング測定については、以下を参照。
より良いオシロスコープ・プロービングのための8つのヒントのp8の「ヒント5 差動プローブを使った安全なフローティング測定の実行」