non-insertable device(ノンインサータブル・デバイス)

ネットワーク・アナライザ測定に関する翻訳で、non-insertable device(ノンインサータブル・デバイス)という言葉がよく出てくる。(例えば、ベクトル・ネットワーク・アナライザ用電子校正(ECal)モジュール)。

ネットワーク・アナライザ測定の系統(システマティック)誤差には、

信号の漏れに関連した、方向性とクロストーク

信号の反射に関連した、信号源インピーダンス不整合と負荷インピーダンス不整合

基準経路と測定経路の周波数応答の違いである、反射トラッキングと伝送トラッキング

がある。

2ポート・デバイスの場合は、上の6種類の誤差項が順方向と逆方向のそれぞれに存在し、全部で12種類の誤差項がある。これらの誤差項をすべて求めて補正するために、フル2ポート校正が行われる。12種類の誤差項があるので、特性が既知の校正用標準器が12種類以上必要になる。フル2ポート校正として、ショート、オープン、ロード、スルーの各基準器を使用する、SOLT(Short-Open-Load-Thru)校正が広く使用されている。

このSOLT校正でスルー校正を行う際に、2ポート・デバイスのそれぞれのポートのコネクタが、

同じタイプのコネクタで性(オス・メス)が異なる場合
または
同じタイプのコネクタで性(オス・メス)の区別がない場合

は、2ポート・デバイスに接続するテスト・ケーブル同士を直結することで長さゼロのスルー接続を実現できる。このようなデバイスをインサータブル・デバイスと呼んでいる。

2ポート・デバイスのそれぞれのポートの

コネクタのタイプと性が同じ場合
または
コネクタのタイプが異なる場合(例えば、一方が同軸で、他方が導波管)

は、接続するテスト・ケーブル同士を直結できないので、長さゼロのスルー接続が実現できずアダプタを使用した代替校正(アダプタ除去校正)を行う必要がある。このようなデバイスをノンインサータブル・デバイスと呼んでいる。

ネットワーク・アナライザの校正については、以下を参照

計測の基礎セミナ RF/マイクロ波コース ネットワーク・アナライザの基礎のp67~p92

コメントは受け付けていません。