permittivity(誘電率)

誘電率1
材料測定に関する翻訳に、permittivity(誘電率)という言葉がよく出てくる(例えば、LCRメータおよびインピーダンス・アナライザを用いた誘電率/透磁率の測定ソリューション)。

誘電体とは、金属のように自由に動き回れる電子(自由電子)がほとんど存在しない物質で、絶縁体ともいう。

元々分極している(電子密度が偏っている)分子で構成されている誘電体(純粋な水など)では、個々の分子が内部電界(永久双極子モーメント)を持っているが、外部から電界が印加されていない状態では、熱運動により双極子モーメントがランダムな方向に向いているので、全体として分極していない。しかし、外部から電界E0を印加すると、分極している分子は、その内部電界の向きがE0と逆方向にそろうので、E0に比例した逆電界E'(分極ベクトルP)が発生する。また、分極していない分子で構成された誘電体でも、外部から電界を印加すると、その分子の電子雲が、印加した電界の向きと逆方向に偏り、逆電界E’が発生する。
誘電率2
このような場合、誘電体内では、逆電界E’により、実質的な電界EはE0-E’となる。
このとき、真空中の電界E0と誘電体内の電界Eとの比(E0/E)を比誘電率εrという。誘電体内の電界は、必ず真空中の電界より小さくなるので、εrは必ず1より大きくなる。また、真空中と誘電体の境界で電界が不連続になるので、D=εE+P という、分極の効果Pを組み込んだ電束密度を導入して、境界でDが連続になるようにする。
誘電率3
分極ベクトルPが外部電界Eに比例する場合は、比例定数をχ・ε0として、P=χ・ε0・Eと書けるので、D=ε0(1+χ)E=ε0・εrEとなる。ここで、ε=ε0・εrを誘電率という。

誘電率については、以下を参照

誘電体測定の基礎

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