dielectric(誘電体)

材料測定に関する翻訳に、dielectric(誘電体)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent 基板の誘電率測定用SPDR誘電体共振器)。

物質を電気の流れやすさから分類すると、導体、半導体、絶縁体(誘電体)になる。通常、これらはバンド理論で説明されるが、定性的には、金属などの導体は原子の最外殻の電子が原子同士の結合にはほどんど関与せず非常に低いエネルギーで移動できるので、電気を通しやすい。一方、絶縁体は、すべての電子が原子間の結合に使われ束縛されているので、電流の担い手である電子が移動できない。したがって、導体にDC電圧(電界)を印加すると電子(電流)が流れ、絶縁体にDC電圧を印加しても電子(電流)が流れない。

しかし、絶縁体にDC電圧(電界)を印加すると、電子は流れないが絶縁体内の電荷の分布に偏りが生じる(この現象を分極と呼ぶ)。すなわち、電極で挟まれた絶縁体の両端に電極電荷とは反対の分極電荷が誘起される(このことから、絶縁体は誘電体とも呼ばれる)。分極電荷により電極電荷が打ち消された分だけ電荷がさらに電極に流入するので、電極で挟まれた誘電体(コンデンサ)はより多くの電気(電荷)を蓄えることができる。誘電体の分極の強弱を表すのに、誘電率が用いられる。

誘電体については、以下を参照

Everyday Physics on Web電気と磁気導体と絶縁体

誘電体測定の基礎

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