RIN(相対強度雑音)

光測定に関する翻訳に、RINという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent 81600Bシリーズ波長可変レーザ光源のp10の仕様一覧の最後の項目)。RINは、relative intensity noise (相対強度雑音)の略である。

RINは、レーザ光の強度の時間的なゆらぎ(強度雑音)を表すパラメータで、単位周波数当たりの光強度のゆらぎ(雑音)を平均光パワーで割ったものである。送信光源のRINが大きいと、CATVなどの長距離光伝送の信号品質が制限されるので、その測定は重要である。

RIN(相対強度雑音)については、以下を参照。

デジタル・コミュニケーション・アナライザ(DCA)による相対強度雑音(RIN)の測定

MIPI

携帯電話などのモバイル機器の測定に関する翻訳に、MIPIという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent U7238A MIPI D-PHY コンプライアンス・テスト・ソフトウェア(Infiniium オシロスコープ用))。

MIPIは、Mobile Industry Processor Interfaceの略で、モバイル機器のインタフェースのハードウェア/ソフトウェアの再利用や互換性を促進し、オープン・スタンダードを確立するために設立されたAlliance(非営利の業界団体)である。

MIPIには、D-PHYとM-PHYの2種類の物理層インタフェースの規格がある。D-PHYは、最大データ転送レートが1レーン当たり1Gbpsの同期転送で、主にカメラやディスプレイとのインタフェース用である。M-PHYは、最大データ転送レートが1レーン当たり5Gbpsで、非同期転送に対応し、D-PHYでは対応できないメモリやチップ間接続にも対応できる。

MIPIについては、以下を参照。

MIPI AlliancePHY Working Group(英語)

携帯電話内部の高速データ転送,次の主役は「MIPI M-PHY」― 広範なアプリケーションを見据えた多芸多才の標準規格

noise density(ノイズ密度)

電源に関する翻訳で、noise density(ノイズ密度)という言葉がよく出てくる(例えば、B2961A/B2962A 超低ノイズDCソースを使用したデバイス評価のp2)。

一般に、ノイズは、広い周波数範囲に渡って分布している(ざまざまな周波数成分を持つ)ので、測定されたノイズの大きさは、測定帯域幅によって異なる。したがって、ノイズの大きさ(電力)は、単位周波数当たりの電力(ノイズ電力スペクトル密度、W/Hz)で表される。

しかし、ノイズは、低周波では電圧で測定されることが多いので、電力(W)=電圧(V)^2/抵抗(Ω)の関係から、ノイズ電力スペクトル密度(W/Hz=V^2/Hz)の平方根をとって、ノイズの大きさ(電圧)をV/√Hzで表す方がわかりやすい。これをノイズ密度またはノイズ電圧スペクトル密度と呼んでいる。

JTAG

ロジック・アナライザ測定に関する翻訳に、JTAGという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent Technologies B4656A Altera用FPGAダイナミック・プローブのp2)。

JTAGは、シリアル通信を用いてICの内部回路と通信をするための仕組みで、1985年にJoint European Test Action Group(JETAG)によって提案され、1990年にIEEE 1149.1(Standard Test Access Port and Boundary-Scan Architecture)として標準化された。

DIP(Dual Inline Package) やQFP(Quad Flat Package) のICでは、パッケージの周囲に端子が出ているので、ロジック・アナライザのプローブを物理的に接触させて信号を読取ることにより、実装検査ができる。しかし、表面実装の高密度化に伴い登場したBGAパッケージのICでは、周囲に端子が出ていない(ICパッケージの裏側に端子がある)ので、プローブを接触させて信号を読取ることができない。そこで、ICの端子内に電子的なプローブ(スキャン・セル)を内蔵し、それをシリアル接続で操作して検査する方法が考えだされた。この検査方式がJTAGであり、ICの端子はICの中と外を分ける境界なので、バウンダリ・スキャン方式とも呼ばれる。

JTAGについては、以下を参照。

アンドールシステムサポート株式会社JTAGテストとは?

特殊電子回路株式会社JTAG技術情報

CAN、LIN、FlexRay

車載ネットワークの測定に関する翻訳に、CAN、LIN、FlexRayという言葉がよく出てくる(例えば、Infiniium 9000Hシリーズ 高解像度オシロスコープのp8)。

最近の自動車には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる自動車制御用コンピュータが多数搭載され、電子制御により高度な機能(パワートレイン制御,ボディー制御,安全制御など)を実現している。しかし、ECUの数が増えると、そのインタフェースや制御シーケンスが複雑化し、ワイヤハーネスの重量も増加する。このような問題を解決するために、CAN、LIN、FlexRayなどの車載ネットワークが開発された。

CANは、Controller Area Networkの略で、ドイツの電装メーカであるBOSCH社が1986年に提唱したシリアル通信プロトコルである。LIN は、Local Interconnect Networkの略で、CANに対して大幅なコスト削減を目的に、欧州のメーカを中心にしてLINコンソーシアムが結成され、1999年に策定されたシリアル通信プロトコルである。FlexRayは、2000年に欧州のメーカを中心にFlexRayコンソーシアムが結成され、CANの後継規格として、転送速度の向上(10Mbps)、ネットワーク構成の柔軟性の向上(バス型、パッシブ・スター型、アクテブ・スター型)や信頼性の向上(完全2重化など)のために策定された規格である。

CAN、LIN、FlexRayについては、以下を参照。

いまさら聞けない 車載ネットワーク入門

車載LAN動向