DSRC

車載RF/マイクロ波システムの測定に関する翻訳に、DSRCという言葉がよく出てくる(例えば、FieldFoxハンドヘルド・アナライザによる車載RF/マイクロ波システムの検証/トラブルシューティングのp3)

DSRCは、Dedicated Short Range Communications(専用狭域通信)の略で、路車間(道路上に設置された無線設備(路側機)と自動車に搭載された車載器間)の狭い範囲での5.8 GHz帯を利用した近距離無線通信である。日本では、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses、社団法人電波産業会)のARIB STD-T75として標準化されている(米国では、IEEE 802.11p)。

DSRCを用いたサービスとして最も有名なのが、ETC(Electroic Toll Collection、有料道路自動料金収受システム)である。ETC以外には、駐車場、ガソリンスタンド、ファーストフード店のドライブスルーでの利用も可能になってきている。また、リアルタイムかつ大容量の道路交通情報や安全運転情報を提供するITS(Intelligent Transport System、高度道路交通システム)の中心となるものである。

DSRCについては、以下を参照。

一般社団法人 建設電気技術協会のホームページ > 技術に関する話題 基礎講座 > 162 DSRC(狭域通信)の現状と動向

CXPI

シリアルバスの測定に関する翻訳に、CXPIという言葉が出てくる(例えば、InfiniiVision Xシリーズ オシロスコープ用シリアル・バス・オプションのp2)。

最近の自動車には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる自動車制御用コンピュータが多数搭載され(100個以上搭載している自動車もある)、電子制御により高度な機能(パワートレイン制御(エンジンやトランスミッションの制御)、ボディー制御(パワー・ウィンドウ、ドアロック、ミラーなどの制御)、安全制御(各種センサで取り込んだ車外情報によるブレーキ制御など)など)を実現している。また、これらの機能は互いに関連することが多いので、各ECU間でデータ通信を行って協調動作する必要がある。しかし、各ECUをそのデータ専用の個別のワイヤで配線すると、ECUの数が多い場合は、配線の数が膨大になり、配線の重量やスペースが増え、コストの増加、信頼性の低下、故障診断や設計変更が困難になるといった問題が生じる。

電子制御機能の内のボディー制御には、シンプルで低コストのLINの使用が適しているが、応答が遅いという欠点がある(マスターデバイスが順次スレーブデバイスをポーリングして通信を許可する方式で、スレーブ間通信はマスターを経由する必要があるので)。そこで、低コストで応答性を高めた車載通信規格として、日本発の国際標準を目指して社団法人自動車技術会が推し進めているのが、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)である。CXPIでは、CSMA/CR(Carrier Sense Multiple Access / Collision Resolution、搬送波感知多重アクセス/衝突解消)と呼ばれる方式を使用して、バスへのアクセスがなければどのスレーブも送信が可能で、同時に送信した場合もそれを調停する仕組みを備えているため、LInに比べて応答性が向上する。

CXPIについては、以下を参照。

日本発の車載LAN規格「CXPI」は「CANとLINのイイとこどり」

skew(スキュー)

高速デジタル回路測定に関する翻訳に、skew(スキュー)という言葉がよく出てくる(例えば、FPGAのデザインに適したI/Oアーキテクチャの選択)。

skewの一般的な意味は、「斜め」とか「歪み」であるが、高速デジタル回路の分野では、バス(ハードウェアの各要素がデジタルデータをやりとりするための経路。例えば、メモリコントローラとメモリ間のメモリバスなど)上の個々の信号線間の配線遅延に起因するタイミングのずれ(伝達時間の差)のことである。特にクロック同期式デジタル回路で設計されたLSIでは、すべての同期式順序回路(フリップフロップ)に同じタイミングでクロックを供給する必要があり、クロック回路から分配されたこれらのクロック信号間の遅延時間差はクロック・スキューと呼ばれる。

近年、バスは、データ転送の高速化により、複数の信号線を用いるパラレルバスから1対の差動信号線を用いるシリアルバスに移行してきているが、メモリモジュール内のバスやメモリやCPU内部のバスでは、複数のビットを同じタイミングで処理する必要があるので、パラレル転送が必要である。例えば最新のGPUでは、メモリバス幅が256ビットのものがあり、ピン数が非常に多く、配線遅延をなくすためにGPUのピンとメモリのピン間を等長で接続するのは非常に困難になる。したがって、PCのマザーボードのようにメモリモジュールを用いるのではなく、GPUを囲むようにメモリチップが直接配置されている。それでも、それぞれのピン間を接続するためには信号線を曲げる必要があるので(それぞれのピン間の信号線の距離が同じにならないので)、等長にするためにミアンダライン(蛇行した配線)が用いられたり、配線長を補正するためのトレーニング(電源投入時に遅延を予め測定して調整すること)が用いられている。

高速デジタル信号のタイミングのずれの問題については以下を参照。

基板設計がうまくいかない、高速信号を手なずけるには

TPMS

車載RF/マイクロ波システムの測定に関する翻訳に、TPMSという言葉がよく出てくる(例えば、FieldFoxハンドヘルド・アナライザによる車載RF/マイクロ波システムの検証/トラブルシューティングのp3)

TPMSは、Tire Pressure Monitoring System(タイヤ空気圧監視システム)の略で、自動車のタイヤの空気圧を運転席から監視するためのシステムである。タイヤの空気圧の不足は、自動車はエンジンで動かすので運転していても分かり難く、パンクやタイヤの破裂の原因になり、燃費も悪くなる。このため、米国では2007年、欧州では2012年、韓国では2013年から、TPMSの新車への搭載が義務付けられている。

TPMSには、直接方式と間接方式の2種類がある。直接方式では、タイヤ内部に温度と圧力を検出するセンサーと送信機を取付け(タイヤのエアバルブと一体になったものが多い)、走行中にセンサーからのデータを受信して温度と空気圧を確認する。間接方式では、空気圧が減少すると、タイヤの半径が小さくなり、回転数が他のタイヤより速くなるので、それをABS(アンチブレーキシステム)の車速センサーで検出して空気圧の減少を間接的に計算する。直接方式には、各タイヤ毎の状態を高精度に確認できるという利点があるが、バッテリーに寿命があり、バッテリーの交換時にタイヤの着脱が必要になるという欠点がある。間接方式には、タイヤを着脱しなくても利用可能であるという利点があるが、回転差の測定からの間接測定なので精度はあまりよくない。

TPMSについては、以下を参照。

カーエレ用語 TPMS ティーピーエムエス

TPMS(タイヤ空気圧警報システム)の特徴とは?

LIDAR(ライダー)

デジタイザに関する翻訳で、LIDAR(ライダー)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight U5303A PCIe高速デジタイザ、オンボードプロセッシング搭載のp2)。

LIDARは、RADAR(RAdio Detecting And Ranging、電波探知および測距)のRAdio(電波)をLIght(光)に置き換えた、LIght Detecting And Ranging(光探知および測距)の略で、レーザー光線を使用して周囲の物体の方向や距離を測定する装置である。レーザー光線を用いるので、LIDARはレーザー・レーダーと呼ばれることもある。

電波も光も同じ電磁波であるが、レーダーに用いられる電波の波長は3 mm~3 m程度(周波数にして0.1 MHz~100 GHz)で、ライダーに用いられる半導体レーザーの波長は可視光領域(波長:400 nm程度)~近赤外線領域(波長:1 μm程度)である。一般に、用いる電磁波の波長より小さな物体の検出感度は低下するので、レーダーよりもライダーの方がはるかに小さな物体を検出でき、高分解能画像が得られる。

このことから、ライダーは、PM2.5(直径2.5 μm以下の炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩などからなる粒子状物質で、健康に害を及ぼすとされている)などの粒子状物質の観測に用いられたり、航空機に搭載して地形の測量などに利用されている。また、最近では、自動運転カーに搭載するセンサとして開発が進められている。

ライダーについては、以下を参照。

日本気象学会のホームページ > 情報交換 教育と普及活動 > 夏期大学 > これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ 第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線 > ライダーネットワークでエアロゾルの三次元的な動態を捉える

LoRa

無線通信機器設計に関する翻訳に、LoRaという言葉が最近よく出てくる(例えば、IoT-大きな可能性と大きな課題のp3の図1)。

IoT向けの無線規格として、近距離ネットワーク用のBluetooth Low Energy (BLE)ZigBeeWi-SUN、中距離ネットワーク用の802.11ahなどがある。NB-IoT、SIGFOXとともに、LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるIoT向けの長距離ネットワーク用の規格として注目されているのが、LoRaWANという規格である。

LoRaは、Long Rangeの略で、長距離通信を低消費電力で行なうためにSemtech社(元はフランスのCycleo社が開発し、Semtech社が買収)が開発したIoT/M2M向けの変調方式(LoRa変調)で、CSS(Chirp Spread Spectrum、チャープスペクトラム拡散)変調に基いたものである。

CSS変調は、搬送波の振幅が一定でその周波数を変化させることにより、デジタル情報(0、1のビット列)を伝送するものであるが、FSK(周波数シフトキーイング)のように、デジタル情報が0のときに低い周波数、1のときに高い周波数を対応させて伝送するのではなく、デジタル情報が0のときに周波数をリニアに減少させ(ダウンチャープと呼ばれる)、1のときに周波数をリニアに増加させて(アップチャープと呼ばれる)伝送する変調方式である(例えばこれのp10~p11)。

スペクトラム拡散では、拡散率(処理利得)を上げると(受信時の逆拡散処理により、信号対(雑音+干渉)の電力比が拡散率の分だけ改善され)、リンクバジェット(受信感度)が増加し、雑音や干渉信号に対する耐性が上がり、到達距離が長くなる。拡散率を上げるということは、拡散信号速度に対してベースバンド信号速度を遅くすることに対応するので、その分データ転送速度は遅くなる。したがって、スペクトラム拡散は、IoT向けの長距離ネットワーク通信に適した変調方式である。

LoRaWANについては、以下を参照。

株式会社ソラコムのblog > アーカイブ > LoRaWANの仕様とネットワークアーキテクチャー

MOST

車載機器測定に関する翻訳に、MOSTという言葉がよく出てくる(例えば、Infiniium Sシリーズ 高分解能オシロスコープのp24)。

最近の自動車には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる自動車制御用コンピュータが多数搭載され(100個以上搭載している自動車もある)、電子制御により高度な機能(パワートレイン制御(エンジンやトランスミッションの制御)、ボディー制御(パワー・ウィンドウ、ドアロック、ミラーなどの制御)、安全制御(各種センサで取り込んだ車外情報によるブレーキ制御など)など)を実現している。これらのECUをそのデータ専用の個別のワイヤで配線すると、ECUの数が多い場合は、配線の数が膨大になり、配線の重量やスペースが増え、コストの増加、信頼性の低下、故障診断や設計変更が困難になるといった問題が生じるので、これらを解決するために、CAN FDなどの車載ネットワークが用いられている。

自動車には上記の運転制御用のネットワークのほかに、カーオーディオやカーマルチメディアシステムなどのインフォテイメント機器があり、これらのデータを伝送/制御するためのネットワークが必要である。このための規格がMOST(Media Oriented Systems Transport)であり、MOST Cooperationと呼ばれる業界団体により推進されている。通信帯域幅25 Mbpsの第1世代のMOST25、通信帯域幅50 Mbpsの第2世代のMOST50、通信帯域幅150 Mbpsの第3世代のMOST150が規格化されている。

MOSTについては、以下を参照。

車載Networkの話(5)「MOST」

connected car(コネクテッドカー)

無線通信機器測定に関する翻訳に、connected car(コネクテッドカー)という言葉が最近よく出てくる(例えば、コネクテッドカー向けの革新的なテストソリューションのp2)。

コネクテッドカーとは、インターネットに常時接続されている車で、車両や車両の周囲環境の状態をさまざまなセンサで収集し、得られたデータをネットワーク上で集積、解析することにより、新たな価値(サービス)を提供するものである。これは、動くM2M、IoTと言ってよいものである。

コネクテッドカーにより実現されつつあるサービスとして、緊急通報システム(事故対応を迅速化するためのシステムで、欧州ではeCallシステムと呼ばれ、2018年4月から新車への搭載が義務付けられる)、テレマティクス保険(ブレーキの回数や加減速などの運転行動や運転時間帯などを分析して保険料を算定する保険で、米国で導入されている)、盗難車両追跡システムなどがある。

コネクテッドカーについては、以下を参照。

総務省の情報通信白書平成27年版 > 情報通信白書平成27年版 HTML版 > 表紙をクリック
> 「すべて開く」をクリック > 第2部 > 第4章 > 第1節 2 (1)コネクテッドカー

5G(第5世代移動通信システム)

無線通信計測関係の翻訳に、5G(第5世代移動通信システム)という言葉が最近よく出てくる(例えば、5G空間電波伝搬特性(チャネルサウンディング)の測定手法)。

移動通信システムは、第1世代(アナログ方式の自動車/携帯電話)、第2世代(PDCやGSM方式のデジタル携帯電話、データレート:数kbps)、第3世代(W-CDMAやCDMA2000方式の携帯電話、データレート:384 kbps)、第3.5世代(HSPAやEV-DO、データレート:14 Mbps)、第3.9世代(LTE、データレート:100 Mbps)、第4世代(LTE-Advanced、データレート:最大1 Gbps)と進化してきた。

5G(第5世代移動通信システム)に対する要求として、4k、8k動画のストリーミングが可能になる高速通信性能、スタジアムでのイベントや災害時でも通信が可能になったり、IoTにも対応できる同時接続数の向上、通信トラフィックの爆発的な増加に対応できるシステム容量の拡大、遠隔医療や車両の自動運転に必要とされる低遅延かつ高信頼の通信、IoT通信が可能になる省電力化などがある。

このような5G(第5世代移動通信システム)に求められる性能は、4Gに対して、

10~100倍のデータレート(高速通信)
100倍の同時接続端末数
1000倍のシステム容量(単位面積当たりの総通信容量)
1 ms未満の低遅延
1/10の消費エネルギー

が必要と言われている。

これらの性能要件を1つの新しい画期的なテクノロジーで実現するのは難しいので、さまざまな既存の技術の改良(LTE/LTE-Advancedで使用されているOFDMの改良、MIMOの大規模化、利用されていないミリ波帯の利用など)が提案されている。

5Gについては、以下を参照

株式会社 日立システムズネットワークスのホームページ > IPよもやま話 > 第125回 「5Gって何?」の話
NTT docomoのホームページ > >企業・IR > 技術情報 ドコモ5Gホワイトペーパー > ドコモ5Gホワイトペーパー(PDF形式:1,169KB)

burst signal(バースト信号)

オシロスコープ測定に関する翻訳で、burst signal(バースト信号)という言葉がよく出てくる(例えば、InfiniiVision Xシリーズ 教育用オシロスコープ・トレーニング・キットのp4)。

burst(バースト)は、辞書を引くと「爆発する」とか「張り裂ける」という訳があるが、オシロスコープで信号を時間領域で表示したときに、時間領域のごく一部にのみ、信号(正弦波、方形波、三角波など)が存在し、それ以外の領域には信号が存在しないものをバースト信号と呼ぶ。また、信号が存在する領域と信号が存在しない領域が時間領域で繰り返される信号もバースト信号と呼ばれる(例えば、ここの「バースト波形の出力」の図)。すなわち、このような波形は、時間領域の一部にのみ信号のエネルギーが集中している(爆発している)ので、バースト波形(信号)と呼ばれる。