FPGA

デジタル信号測定に関する翻訳に、FPGAという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent MSO6000シリーズ N5406A Xilinx用FPGAダイナミック・プローブ)。

FPGAは、Field Programmable Gate Array(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ) の略で、設計現場(フィールド)で書き換え可能(プログラマブル)な論理ゲートが格子状に並んだ(ゲート・アレイ)LSIである。

デジタル回路は、AND、OR、NOTの論理ゲートを組み合わせて(実際には、論理ゲートを実現するためのトランジスタの数が少なくて済むNANDゲート、NORゲートを組み合わせて)実現されている。1980年頃までは、ANDゲートだけが複数個あるICやNANDゲートだけ複数個あるICといった汎用ロジックICを組み合わせて小規模なデジタル回路を実現していた。しかし、デジタル処理が複雑化するにつれて、用いるICの個数が増え配線も複雑化し実装面積が巨大になった。そのため、汎用の小規模なロジックICを多数用いるのではなく、特定用途向けにさまざまな回路を組み込んだ大規模なIC(LSI)の開発へと向かうのであるが、専用LSIの開発コストが非常に高くなる(ファウンダリでのマスク製作とICの製造に数億円かかり、ミスが許されないので設計検証作業も膨大になる)という問題が発生する。そこで登場したのが、設計現場で内部ロジックや内部配線を変更できるPLD( Programmable Logic Device)である。PLDを大規模にしたものが FPGA(Field Programmable Gate Array)である。

FPGAについては、以下を参照。

FPGAインフォメーションのFPGA入門

ザイリンクス FPGA 講座1章FPGAとは

electrical length(電気長)

高周波測定に関する翻訳に、electrical length(電気長)という言葉がよく出てくる(例えば、誘電体測定の基礎のp22)。

伝送媒体中の電磁波の速度Vは、伝送媒体の比誘電率をεr、比透磁率をμrとすると、

V = c/√(εr×μr)、(ここで、c=真空中の電磁波の速度)

なので、伝送媒体中の電磁波の速度Vは、真空中の電磁波の速度cより遅くなる(ポリエチレンを充填材(伝送媒体)にした同軸ケーブルでは、εr=2.3、μr=1なので、V=0.66×c)。

また、波の波長(λ)と周波数(f)と速度(v)の間には、λ=v/fという関係があり、真空中と伝送媒体中では周波数(f)は変化しないので、波長(λ)は真空中よりも伝送媒体中の方が短くなる。

以上から、物理的な長さ(物理長)と電気的な長さ(電気長)は、真空中では同じある(電磁波の速度(波長)が変わらないので)が、伝送媒体中では電気長の方が長くなる(電磁波の速度が遅くなる(波長が短くなる)ので)。

伝送ラインの電気長が異なると(ケーブル材料の材質や構造が異なると)、伝搬遅延差が生じ、測定誤差につながる。

Harmonic Balance(ハーモニック・バランス)

回路シミュレーションに関する翻訳に、Harmonic Balance(ハーモニック・バランス)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent EEsof EDA W2300 ハーモニック・バランス・エレメント)。

多くの高周波回路には長い時定数が含まれているため、回路シミュレーションでは、過渡状態から定常状態に収束するまで、最低周波数の正弦波の周期の何倍にも渡る時間で数値積分を実行する必要があり、時間かかる。これに対して、通常欲しいのは、回路の定常動作である。このような場合に、ハーモニック・バランス・シミュレーションを使用すると、直接回路の定常状態のスペクトラム応答を求めることができ、シミュレーション時間が短縮される。

ハーモニック・バランス・シミュレーションでは、「与えられた正弦波信号に対して、回路に定常状態(定常解)が存在し、それが有限のフーリエ級数によって表現される」と仮定して、反復計算が行われる。図1のように、キルヒポッフの電流則を周波数領域で表わす。このとき、非線形素子(ここでは、ダイオード)を流れる電流は、図2のように、素子に印加される電圧スペクトラムを時間領域に逆フーリエ変換し、その電圧波形を印加したときの電流を(SPICEの時間領域モデルを使用して)計算し、それをフーリエ変換することにより、電流スペクトラムを求める。初期値(信号源電圧のみが与えられた状態)から出発して、各周波数成分毎に各ノードの電流の和がゼロになるまで(ハーモニック成分がバランスするまで)反復計算を行ない、定常解(定常状態のスペクトラム応答)を求める方法がハーモニック・バランス法である。

図1

図1

図2

図2

Bluetooth

無線通信測定に関する翻訳に、Bluetoothという言葉がよく出てくる(例えば、N9081A/W9081A Bluetooth Xシリーズ アドバンスド測定アプリケーション)。Bluetoothという言葉は、10世紀にデンマークとノルウェーを統一したバイキングのデンマーク王、Harald Bluetoothに由来し、無線通信リンクを統一したいという願いが込められている。

Bluetooth通信の歴史は結構古く、スウェーデンの通信機器メーカー、Ericsson社の社内プロジェクトとして1994年に開始され、1998年にIBM、Intel、Ericsson、東芝、NokiaによってSIG(Special Interest Group)が設立された。最新バージョンは、Bluetooth 4.0で、ボタン電池1つで長時間動作するLow Energy(低消費電力)モードが追加され、Bluetooth 4.0対応腕時計が販売されている。

Bluetoothとは、ケーブル接続(マウス・ケーブル、キーボード・ケーブル、音声ケーブル、LANケーブル、USBケーブルなど)の代わりに無線接続で通信することにより、ケーブルのないスッキリした環境を実現し、ケーブルに煩わされることなく自由に動きながら使用できる利便性を実現する、近距離無線通信技術の1つである。最近では、ほとんどのスマートフォン、携帯電話 、タブレットPCにBluetoothが標準搭載され、普及が進んでいる。

Bluetoothについては、以下を参照。

無線化.com > お知らせ・学ぶ・導入事例 > 無線化基礎知識 > Bluetoothとは?

Bluetooth RF測定の基礎