図1
図2
図3
無線通信機器のVCO(電圧制御発振器)の測定に関する翻訳で、phase noise(位相雑音)という言葉が出てくる(参考:
高周波デザイナーの為のVCO/PLL周波数シンセサイザ設計/評価手法)。
発振器の出力の位相雑音は、理想的な正弦波の振幅と位相が、デバイスの持つ固有のランダムな雑音(熱雑音、フリッカ雑音、ショット雑音など)により変調を受けることにより説明される(図1)。位相雑音は、測定帯域幅当たりの位相変動の2乗平均(RMS)値[rad^2/Hz]で定義される。しかし、測定が容易な物理量は、発振器の出力(基本波)近傍での、位相変動に起因する雑音パワー(雑音側波帯)なので、間接的な位相雑音の定義として、基本波からのオフセット周波数における、1Hz帯域幅当たりの雑音パワーと発振器の基本波パワーとの比をとり、SSB位相雑音[dBc/Hz]で表わすのが一般的である。位相変動が小さい場合には、図2の一番下の式のように位相雑音とSSB位相雑音との間に簡単な関係がある。
位相雑音が重要な理由の1つは、近接する多数の周波数チャンネルを使用する携帯電話などの無線機の局部発振器の位相雑音特性(信号純度)が悪い(図3のLO1)と、隣接チャンネルに大きな信号(周波数f1)が存在する場合に、チャンネル間隔(f2ーf1)と同じオフセット周波数における位相雑音により、IF出力に隣接チャンネル妨害が生じる(周波数(f2-f_LO1)のIF出力が、大きな隣接チャンネル信号(周波数f1)のIF出力(位相雑音の大きなLO1に起因するIF雑音)に隠されてしまう)からである。(参考: mixer(ミキサ))
位相雑音についての詳細は、大阪大学のオープンコースウェアの高周波集積回路設計の講義資料の以下を参照。
位相雑音(Phase Noise)