MOST

車載機器測定に関する翻訳に、MOSTという言葉がよく出てくる(例えば、Infiniium Sシリーズ 高分解能オシロスコープのp24)。

最近の自動車には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる自動車制御用コンピュータが多数搭載され(100個以上搭載している自動車もある)、電子制御により高度な機能(パワートレイン制御(エンジンやトランスミッションの制御)、ボディー制御(パワー・ウィンドウ、ドアロック、ミラーなどの制御)、安全制御(各種センサで取り込んだ車外情報によるブレーキ制御など)など)を実現している。これらのECUをそのデータ専用の個別のワイヤで配線すると、ECUの数が多い場合は、配線の数が膨大になり、配線の重量やスペースが増え、コストの増加、信頼性の低下、故障診断や設計変更が困難になるといった問題が生じるので、これらを解決するために、CAN FDなどの車載ネットワークが用いられている。

自動車には上記の運転制御用のネットワークのほかに、カーオーディオやカーマルチメディアシステムなどのインフォテイメント機器があり、これらのデータを伝送/制御するためのネットワークが必要である。このための規格がMOST(Media Oriented Systems Transport)であり、MOST Cooperationと呼ばれる業界団体により推進されている。通信帯域幅25 Mbpsの第1世代のMOST25、通信帯域幅50 Mbpsの第2世代のMOST50、通信帯域幅150 Mbpsの第3世代のMOST150が規格化されている。

MOSTについては、以下を参照。

車載Networkの話(5)「MOST」

connected car(コネクテッドカー)

無線通信機器測定に関する翻訳に、connected car(コネクテッドカー)という言葉が最近よく出てくる(例えば、コネクテッドカー向けの革新的なテストソリューションのp2)。

コネクテッドカーとは、インターネットに常時接続されている車で、車両や車両の周囲環境の状態をさまざまなセンサで収集し、得られたデータをネットワーク上で集積、解析することにより、新たな価値(サービス)を提供するものである。これは、動くM2M、IoTと言ってよいものである。

コネクテッドカーにより実現されつつあるサービスとして、緊急通報システム(事故対応を迅速化するためのシステムで、欧州ではeCallシステムと呼ばれ、2018年4月から新車への搭載が義務付けられる)、テレマティクス保険(ブレーキの回数や加減速などの運転行動や運転時間帯などを分析して保険料を算定する保険で、米国で導入されている)、盗難車両追跡システムなどがある。

コネクテッドカーについては、以下を参照。

総務省の情報通信白書平成27年版 > 情報通信白書平成27年版 HTML版 > 表紙をクリック
> 「すべて開く」をクリック > 第2部 > 第4章 > 第1節 2 (1)コネクテッドカー

5G(第5世代移動通信システム)

無線通信計測関係の翻訳に、5G(第5世代移動通信システム)という言葉が最近よく出てくる(例えば、5G空間電波伝搬特性(チャネルサウンディング)の測定手法)。

移動通信システムは、第1世代(アナログ方式の自動車/携帯電話)、第2世代(PDCやGSM方式のデジタル携帯電話、データレート:数kbps)、第3世代(W-CDMAやCDMA2000方式の携帯電話、データレート:384 kbps)、第3.5世代(HSPAやEV-DO、データレート:14 Mbps)、第3.9世代(LTE、データレート:100 Mbps)、第4世代(LTE-Advanced、データレート:最大1 Gbps)と進化してきた。

5G(第5世代移動通信システム)に対する要求として、4k、8k動画のストリーミングが可能になる高速通信性能、スタジアムでのイベントや災害時でも通信が可能になったり、IoTにも対応できる同時接続数の向上、通信トラフィックの爆発的な増加に対応できるシステム容量の拡大、遠隔医療や車両の自動運転に必要とされる低遅延かつ高信頼の通信、IoT通信が可能になる省電力化などがある。

このような5G(第5世代移動通信システム)に求められる性能は、4Gに対して、

10~100倍のデータレート(高速通信)
100倍の同時接続端末数
1000倍のシステム容量(単位面積当たりの総通信容量)
1 ms未満の低遅延
1/10の消費エネルギー

が必要と言われている。

これらの性能要件を1つの新しい画期的なテクノロジーで実現するのは難しいので、さまざまな既存の技術の改良(LTE/LTE-Advancedで使用されているOFDMの改良、MIMOの大規模化、利用されていないミリ波帯の利用など)が提案されている。

5Gについては、以下を参照

株式会社 日立システムズネットワークスのホームページ > IPよもやま話 > 第125回 「5Gって何?」の話
NTT docomoのホームページ > >企業・IR > 技術情報 ドコモ5Gホワイトペーパー > ドコモ5Gホワイトペーパー(PDF形式:1,169KB)