車載機器測定に関する翻訳に、MOSTという言葉がよく出てくる(例えば、Infiniium Sシリーズ 高分解能オシロスコープのp24)。
最近の自動車には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる自動車制御用コンピュータが多数搭載され(100個以上搭載している自動車もある)、電子制御により高度な機能(パワートレイン制御(エンジンやトランスミッションの制御)、ボディー制御(パワー・ウィンドウ、ドアロック、ミラーなどの制御)、安全制御(各種センサで取り込んだ車外情報によるブレーキ制御など)など)を実現している。これらのECUをそのデータ専用の個別のワイヤで配線すると、ECUの数が多い場合は、配線の数が膨大になり、配線の重量やスペースが増え、コストの増加、信頼性の低下、故障診断や設計変更が困難になるといった問題が生じるので、これらを解決するために、CAN FDなどの車載ネットワークが用いられている。
自動車には上記の運転制御用のネットワークのほかに、カーオーディオやカーマルチメディアシステムなどのインフォテイメント機器があり、これらのデータを伝送/制御するためのネットワークが必要である。このための規格がMOST(Media Oriented Systems Transport)であり、MOST Cooperationと呼ばれる業界団体により推進されている。通信帯域幅25 Mbpsの第1世代のMOST25、通信帯域幅50 Mbpsの第2世代のMOST50、通信帯域幅150 Mbpsの第3世代のMOST150が規格化されている。
MOSTについては、以下を参照。