TDDB、NBTI、hot carrier injection(ホットキャリア注入)、electro migration(エレクトロ・マイグレーション)

半導体デバイスの信頼性テストに関する翻訳で、TDDB、NBTI、hot carrier injection(ホットキャリア注入)、electro migration(エレクトロ・マイグレーション)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent EasyEXPERTとDesktop EasyEXPERTのp2の表1)。

半導体デバイスの時間経過に対する故障率は、通常、3つの領域(初期故障領域、偶発故障領域、摩耗故障領域)に分類され、バスタブ曲線になる。初期故障は、ウェーハ製造工程でのダストの付着などに起因する故障で通常は最終選別工程までに不良品として取り除かれる。初期故障品が取り除かれた後は、故障率が時間の経過とともに緩やかに減少する領域(バスタブの底)に入る(この期間を偶発故障領域と呼ぶ)。さらに、時間が経過して、半導体デバイスの寿命(耐用年数)近くになると、故障率が増加し始める(この時期以降を摩耗故障領域と呼ぶ)。

摩耗故障の原因として、TDDB、NBTI、hot carrier injection(ホットキャリア注入)、electro migration(エレクトロ・マイグレーション)などがあり、半導体デバイスの寿命を決める重要な現象である。

TDDBは、Time Dependent Dielectric Breakdownの略で、「絶縁膜経時破壊」と訳されることがある。これは、MOS FETのゲート絶縁膜に、絶縁耐圧以下の電界を印加してても、それが長時間に及ぶと絶縁膜が劣化して破壊に至る現象である。

NBTIは、Negative Bias Temperature Instabilityの略で、「負バイアス温度不安定性」と訳されることがある。これは、高温状態で、pMOS FETのゲートに負バイアスが印加されると、しきい値電圧(Vth)やドレイン電流(Id)の特性が低下する現象である。nMOS FETでは、PBTIと呼ばれる。

ホットキャリア注入は、ドレイン電界により加速されて高いエネルギーを持ったキャリア(ホット・キャリア)が、ゲート絶縁膜に注入されて、しきい値電圧(Vth)やドレイン電流(Id)の特性が低下する現象である。

エレクトロ・マイグレーションは、半導体集積回路の金属配線に大電流が流れると、電子と金属原子(AlやCu)の衝突により、原子が移動してボイド(薄膜配線上のくぼみ)が生じ断線に至る現象である。

TDDB、NBTI、ホットキャリア注入、エレクトロ・マイグレーションについては、以下を参照。

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