Carrier Aggregation(キャリア・アグリゲーション)

無線通信測定(LTE-Advancedなど)に関する翻訳で、Carrier Aggregation(キャリア・アグリゲーション)という言葉が最近よく出てくる。

Carrierとは、無線通信に使用される搬送波のことで、伝送したい情報(音声とかデジタル・データ)をのせて電波で運ぶための信号である。この信号に情報をのせるための操作は変調と呼ばれる(参考:変調のいろいろ~電波に情報をのせる手法の概観~)。Aggregationの動詞aggregateには、「集める、統合する」という意味があり、Carrier Aggregationで「搬送波を集めて統合する」という意味である。

モバイル通信におけるビデオ伝送などの情報伝送量の急激な増加に伴い、情報を伝送するための帯域幅を広くする必要が生じてきた(大量の情報を伝送するためには、搬送波を複雑な変調方式で変調して情報伝送速度を上げる必要があり、占有帯域幅も増加する。参考:通信システムのディジタル変調入門編)。しかし、法律上許可された通信周波数領域のバンド(帯域幅)が狭く、そのバンドを多数のユーザが使用するので、ビデオなどの大量の情報を伝送するための帯域幅が足りなくなる。これを解決するために、同じ許可された通信周波数領域の異なるキャリア(ユーザが使用していないキャリア)を統合したり、異なる許可された通信周波数領域のキャリアを統合して、広い帯域幅を確保する手法を、Carrier Aggregation(キャリア・アグリゲーション)と呼んでいる。

impedance matching(インピーダンス整合)

図1

図2

図3

高周波測定に関する翻訳で”impedance matching(インピーダンス整合)”という言葉がよく出てくる。最近では、デジタル回路(PCのマザーボード、CPUダイ内部、ICパッケージ、USB3.0やPCI Expressなどの高速シリアル・ インターフェイス)も高速になり、インピーダンス整合の重要性が増している。このような高周波回路では、インピーダンス整合がとれていないと、信号源の電力の一部が負荷で反射されて、十分な電力を伝えることができない。また、多重反射が発生し(信号源と負荷の間で繰り返し反射が起こり)、アイ・パターンを悪化させる原因となる(参考:ENAオプションTDRを使用した能動デバイスの効果的なホットTDR測定)。

インピーダンス整合とは、信号源と負荷を接続したとき、負荷で消費される電力が最大になるように、接続することである。そのための回路を整合回路という。インピーダンス整合の条件は、負荷側から信号源を見たときのインピーダンスと信号源側から負荷を見たときのインピーダンスが、互いに複素共役になる場合である。したがって、負荷側からの信号源インピーダンスがZs=Rs+jXsであれば、負荷インピーダンスをZl=Rs-jXsにすれば、最大の電力が伝達される。図で、このインピーダンス整合条件を求める。

jitter(ジッタ)

計測器の翻訳に、jitter(ジッタ)という言葉が出てくる。最近では、AVアンプとかブルーレイ・レコーダにもジッタ低減回路搭載という記述が増えてきている。

ジッタとは、信号波形の時間的なゆらぎである。ジッタが重要な理由は、S/N比が重要な理由と同じである。ジッタが大きいと、アイ・パターンで水平方向にアイが閉じる原因になり、ビット・エラー・レートを悪化させる。これに対して、ノイズが大きいと(S/N比が悪いと)、アイ・パターンで垂直方向にアイが閉じる原因になり、ビット・エラー・レートを増加させる。参考:ディジタル信号の正体を見る

ジッタについての詳細は、以下のリンクを参照。

クロック・ジッタ解析によるシリアル・データのBERの低減
高速データ・レートでのジッタ解析