jitter tolerance(ジッタ耐力)

ビット・エラー・レート・テストに関する翻訳に、jitter tolerance(ジッタ耐力)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent J-BERT N4903B 高性能シリアルBERT)。jitter toleranceは、「ジッタ・トレランス」とも訳される。

jitter tolerance(ジッタ耐力)は、SONET/SDH(光ファイバーを用いた高速デジタル伝送方式の国際規格)の仕様で最初に用いられたが、最近ではUSB3.0、PCI Express、シリアルATA、HDMIなどの高速シリアル伝送規格でも重要な測定項目になっている。ジッタ耐力とは、どれだけのジッタに受信側が耐えられるか(受信側でのビット・エラー・レートが一定値(例えば、10の-12乗)以下になるか)を確認する測定である。通常、ジッタの大きさや周波数、ジッタの成分(種類)を変化させながら、受信側でのビット・エラー・レートを測定する。

ジッタ耐力については、以下を参照。

高速シリアル通信におけるジッタの基礎と測定手法の概要のp10

村田製作所の投稿記事「USB3.0に対応したノイズ対策」の「Jitter Tolerance試験におけるマージン向上]

DANL(表示平均雑音レベル)

スペクトラム・アナライザに関する翻訳で、DANL(表示平均雑音レベル)という言葉がよく出てくる(例えば、スペクトラム・アナライザ測定を成功させる8つのヒントのp3)。DANLは、displayed average noise levelの省略形で、表示平均ノイズ・レベルとも訳される。

DANL(表示平均雑音レベル)とは、スペクトラム・アナライザのディスプレイ上に表示されるノイズフロアのレベルで、測定可能な最小信号レベル(感度)を表す。このノイズフロア・レベルは、スペクトラム・アナライザのRBW(分解能帯域幅)により変化するので、RMBの値とともにその仕様値が示される。ノイズフロアのレベルの下限は、自然界に必ず存在する熱雑音(kTB雑音)により制限され、理論限界値は-174 dBm/Hz(T=290 K)である。

スペクトラム・アナライザのダイナミック・レンジ、DANL、位相雑音、内部歪みの関係については、以下を参照。

RF/マイクロ波スペクトラム・アナライザのダイナミック・レンジの最適化

convolution(畳み込み)

回路シミュレーションに関する翻訳で、convolution(畳み込み)という言葉がよく出てくる(例えば、IBIS AMIチャネル・シミュレーション・フローを用いたSERDESデザインについてのp4)。

回路のインパルス応答を測定するだけで、あらゆる入力信号に対する応答(出力信号)が「畳み込み演算」により求めることができる。
コンボリューション1
ある系に、入力信号x[t]を印加したときの出力信号y[t]を考える。この系は、線形性(重ね合わせの原理が成り立つ)、時不変性(時刻が異なっても入力と出力の関係が同じ)、因果律を満たす(時刻nにおけるシステムの出力y[n]は、過去の入力x[n]、x[n-1]、…のみに依存)とする。
コンボリューション2
この系に、インパルス関数δ(n)[n=0のときδ(n)=1、n≠0のときδ(n)=0となる関数]を入力したときの出力(インパルス応答関数)をh(n)とすると、y[t]=x[t]h[0]+x[t-1]h[1]+…となる。これを、離散系のたたみ込み演算(コンボリューション)という(図参照)。

このような系では、インパルス関数δ[n]の応答h[n]を測定すれば、上の式から、任意の入力x[t]に対する出力y[t]が得られる。連続系では、上の離散系のたたみ込み演算を連続化して、図のような積分表示となる。

コンボリューション3

畳み込み演算の簡単な説明については、以下を参照

たたみこみ(合成積)