半導体デバイス測定に関する翻訳で、1/f noise(1/fノイズ)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight E4727A Advanced Low-Frequency Noise Analyzerのp2)。
CPUやメモリなどのLSIには、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor、金属酸化膜半導体)構造のトランジスタ(MOSFET、FETはField Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略)がスイッチング素子として使われている。MOSFETのゲートに電圧(電界)を印加する/しないによる、ソース-ドレイン間の電流のオン/オフ制御(スイッチ)を利用して、論理回路が形成されている。
MOSFET内部で生じるノイズとして、熱雑音と1/fノイズがある。
熱雑音は、白色雑音(ホワイトノイズ)とも呼ばれ、半導体内部のキャリアが熱によりランダムに運動することによって生じるもので、パワースペクトラムが周波数に依存しない(どの周波数成分も同じ量だけ含まれている)。また、熱雑音パワーはkTB(k=ボルツマン定数、T=温度、B=ノイズ測定時の帯域幅)で表わされるので、温度と測定帯域幅を小さくすると熱雑音は小さくなる。
1/fノイズは、ノイズのパワースペクトラムが周波数に反比例するので、1/fノイズと呼ばてれている(1/fゆらぎとも呼ばれる)。MOSFETにおけるこのノイズの原因は、ランダム・テレグラフ・ノイズの重ねあわせであると言われている。
1/fゆらぎは、音楽や人の声にも存在し、1/fゆらぎ成分のある音楽や歌声は心地よいとされている。また、打ち寄せる波の音、小川のせせらぎ、風の吹き方、木漏れ日、太陽光、蛍の光などの自然界のゆらぎも1/fゆらぎであると言われている。
1/fノイズについては、以下を参照
1/f noise from the coincidences of similar single-sided random telegraph signals(英語PDF)