droop(ドループ)

パルス波形測定に関する翻訳で、droop(ドループ)という言葉がよく出てくる(例えば、8990Bピーク・パワー・アナライザおよびN1923A/N1924A広帯域パワー・センサのp5)。

パルス波形の形状を表わすパラメータとして、パルス幅、立ち上がり時間、立ち下がり時間、ドループ(サグとも呼ばれる)などがある。

理想的な方形パルスは、時刻T=t_startの瞬間に電圧V_Lowから電圧V_Highに立ち上がり、電圧V_Highを一定に保って、時刻T=t_stopの瞬間に電圧V_Highから電圧V_Lowに立ち下がり、電圧V_Lowを一定に保つ。したがって、パルス幅はt_stop - t_startで、立ち上がり時間と立ち下がり時間はゼロである。

しかし、現実のパルス波形では、電圧V_Lowから電圧V_Highに立ち上がる(電圧V_Highから電圧V_Lowに立ち下がる)のに有限の時間がかかる。したがって、パルス幅は、通常、パルス波形のパルス振幅(V_High - V_Low)の50%の(立ち上がり時間区間と立ち下がり時間区間の)時刻ポイント間で定義される。立ち上がり時間は、通常、立ち上がり時間区間でパルス振幅(V_High - V_Low)の10%に対応する時刻ポイントから90%に対応する時刻ポイントまでの時間として定義される(立ち下がり時間は90%のポイントから10%のポイントまでの時間)。また、実際のパルス波形では、立ち上がった後から立ち下がる前までのパルスのトップ部分(理想パルス波形では、電圧V_Highが一定の部分)の電圧は一定ではなく、減少する場合があり、これがドループ(サグ)である。

パルス波形のパラメータについては、以下を参照

神戸大学 大学院理学研究科 物理学専攻 粒子物理学研究室の蔵重久弥 教授のページ > Lectures/講義 > 物理学実験Ⅱ・Ⅲ「パルス技術」のテキスト

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