root-raised cosine filter(ルート・レイズド・コサイン・フィルタ)

デジタル移動通信測定の翻訳で、root-raised cosine filter(ルート・レイズド・コサイン・フィルタ)という言葉がよく出てくる(例えば、ディジタルRF受信機デザインのテストおよびトラブルシューティングのp6)。「RRCフィルタ」と略されることもある。

これを簡単に説明するのは難しいが、概要は以下のようである。デジタル情報(0と1)に対応するパルス列(無限個の高調波成分を含む)のベースバンド信号をそのまま変調して搬送波に乗せて電波として飛ばすと、その搬送波にベースバンド信号の高調波成分がシフトされ、隣接チャンネル干渉が生じる。これを防ぐために、ベースバンド信号をフィルタに通過させて帯域制限する。しかし、一般にパルス波形がフィルタを通過すると、パルス波形がなまり符号間干渉が生じて復調時に0と1の区別がつかなくなり、信号品質が劣化する。ナイキストは0と1の判定ポイントでこのような符号間干渉が生じないフィルタの伝達特性の条件を求めた。これをナイキストの条件と言い、この条件を満たすフィルタがレイズド・コサイン・フィルタ(2乗余弦フィルタ)である。このことから、レイズド・コサイン・フィルタはナイキスト・フィルタと呼ばれることもある。この特性を送信側と受信側に分割し、その一方の特性のフィルタをルート・レイズド・コサイン・フィルタと呼ぶ。

ナイキスト・フィルタの詳細については、以下を参照。
ディジタル移動無線の基礎
ディジタル変復調
Theory of Root-Raised Cosine Filter(英語pdf)

コメントは受け付けていません。