image response(イメージ応答)

スペクトラム/シグナル・アナライザに関する翻訳に、image response(イメージ応答)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent M9391A PXIeベクトル・シグナル・アナライザのp15)。

ミキサを使用して、周波数の高いRF信号(周波数:Frf)を、その周波数に非常に近い周波数(Flo)の局部発振器信号(LO信号)とミックス(混合)することにより、これらの差周波数であるIF(中間周波)信号(周波数:Fif、この周波数は、低周波なので、回路内で扱いやすくなる)が得られる。これを式で表すと、

Fif=Frf-Flo

となる。これは、目的のRF信号の周波数FrfがLO信号の周波数Floより高い場合(Frf > Flo)である。

しかし、Floより低く、かつFlo-Fim=Fifとなる周波数Fimの信号がミキサに入力されても、同じIF周波数Fifの信号が生じる。周波数Fim(=Flo-Fif)のこの信号をイメージ(影像)信号と呼び(LO信号の周波数Floに対して、周波数Frf(=Flo+Fif)の目的のRF信号と左右対称な位置関係にあるので)、そのイメージ信号によるミキサの応答のことをイメージ応答と呼ぶ。通常、イメージ信号による応答は、目的のRF信号による応答を妨害する不要な応答なので、ミキサに入力される前にプリセレクタ(フィルタ)を用いて除去される。

Windows 7版Internet Explorer 11リリース

ie11win7Windows 7のInternet Explorer 11がリリースされました。

さっそく、懸案のType 1フォントの問題について、テストしてみました。

テスト環境
Windows 7 Pro SP1 64bit
Windows Server 2008R2 SP1

それぞれの環境には「Courier」と「Helvetica」のType1フォントがインストール済み。

テストに使用したのは、これまでと同じオンラインヘルプです。

結果、ファイルが問題なく表示されることを確認しました。IE9から続いてきた問題がようやく解消されました。影響を受けたのはごく一部のユーザかも知れませんが、何はともあれ、めでたし、めでたしです。

Kramers-Kronig relation(クラマース・クローニッヒの関係式)

高周波シミュレーションに関する翻訳に、Kramers-Kronig relation(クラマース・クローニッヒの関係式)という言葉が出てくる(例えば、Sパラメータ・モデルを使用したFPGAのパワー・インテグリティ・シミュレーションのp10)。

クラマース・クローニッヒの関係式は、因果律(システム(系)の出力が、過去の入力のみに依存)が成り立つことから導くことができる、系の周波数応答関数H(ω)の実数部と虚数部の間に成り立つ関係式のことである。シミュレーション・モデルの妥当性(因果律を満たすかどうか)を検証するために使用されることがある。

t=0でインパルスが発生したとすると、系のインパルスに対する応答h(t)は、系が因果律を満たすことから、t<0ではh(t)=0なので、単位ステップ関数u(t)=0(t<0)、1(t≧0)を用いて、 h(t)=u(t)×h(t) と書ける。この式の両辺をフーリエ変換すると、単位ステップ関数u(t)のフーリエ変換、-j/ω+πδ(ω)(jは虚数記号、δはデルタ関数(du(t)/dt=δ(t))およびフーリエ変換の性質(畳み込みの定理)、(1/2π)×F(u(t)*h(t))=F(u(t))×F(h(t))(*は畳み込み積分)を用いて、

F(h(t))=H(ω)=F(u(t)×h(t))=(1/2π)×[(-j/ω+πδ(ω))*H(ω)]

となる。H(ω)を実数部Hr(ω)と虚数部Hi(ω)に分けて、H(ω)=Hr(ω)+jHi(ω)と書くと、上の式は、

H(ω)=(1/2π)×[(-j/ω+πδ(ω))*(Hr(ω)+jHi(ω))]

となる。これと、H(ω)=Hr(ω)+jHi(ω)を比較することにより、

Hi(ω)=-(1/πω)*Hr(ω)
Hr(ω)=(1/πω)*Hi(ω)

が得られ、クラマース・クローニッヒの関係式(ヒルベルト変換対)と呼ばれる。

ヒルベルト変換については、以下を参照

ヒルベルト変換は、どんなん?