スペクトラム/シグナル・アナライザに関する翻訳に、image response(イメージ応答)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent M9391A PXIeベクトル・シグナル・アナライザのp15)。
ミキサを使用して、周波数の高いRF信号(周波数:Frf)を、その周波数に非常に近い周波数(Flo)の局部発振器信号(LO信号)とミックス(混合)することにより、これらの差周波数であるIF(中間周波)信号(周波数:Fif、この周波数は、低周波なので、回路内で扱いやすくなる)が得られる。これを式で表すと、
Fif=Frf-Flo
となる。これは、目的のRF信号の周波数FrfがLO信号の周波数Floより高い場合(Frf > Flo)である。
しかし、Floより低く、かつFlo-Fim=Fifとなる周波数Fimの信号がミキサに入力されても、同じIF周波数Fifの信号が生じる。周波数Fim(=Flo-Fif)のこの信号をイメージ(影像)信号と呼び(LO信号の周波数Floに対して、周波数Frf(=Flo+Fif)の目的のRF信号と左右対称な位置関係にあるので)、そのイメージ信号によるミキサの応答のことをイメージ応答と呼ぶ。通常、イメージ信号による応答は、目的のRF信号による応答を妨害する不要な応答なので、ミキサに入力される前にプリセレクタ(フィルタ)を用いて除去される。