測定器の翻訳に、decade(ディケード)という単位がよく出てくる(例えば、33500Bシリーズ 波形発生器のp14)。
decadeの通常の訳語は「10年」であるが、測定の分野では「10倍」という意味である。化学式の命名法などで覚えた、ギリシャ語のモノ(mono、1)、ジ(di、2)、トリ(tri、3)、テトラ(tetra、4)、ペンタ(penta、5)、ヘキサ(hexa、6)、ヘプタ(hepta、7)、オクタ(octa、8)、ノナ(nona、9)、デカ(deca、10)のdecaが語源である。
測定の分野では、1ディケードは周波数が10倍という意味で通常使われる。例えば、フィルタの遮断特性が、
-20 dB/decade
と書かれている場合は、周波数が10倍になる毎に、通過する信号の振幅が20 dB減衰するという特性をそのフィルタが持っているという意味である。
ディケードと似た単位にoctave(オクターブ)という単位がある。オクターブの語源は上のギリシャ語のoctaで、8度音階の8度の差(周波数差が2倍)という意味である。例えば、フィルタの遮断特性が、
-6 dB/octave
と書かれている場合は、周波数が2倍になる毎に、通過する信号の振幅が6 dB減衰するという特性をそのフィルタが持っているという意味である。
decade、octave、dBは、それぞれ相対値(次元のない量、比)の単位で、
3 dB/octave = 10 dB/decade
(さらに正確には、10Log2=3.01なので、3.01 dB/octave = 10 dB/decade)
の関係がある。したがって、
-20 dB/decade = -6 dB/octave
である。