clock recovery(クロック・リカバリ)

高速シリアル・データ通信測定に関する翻訳に、clock recovery(クロック・リカバリ)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent 83495A 10Gb/sクロック・リカバリ・モジュール)。clock recoveryは、クロック再生、クロック抽出、クロック回復と訳されることもある。

今日の多くの高速シリアル・データ通信(シリアルATA、PCI Express、USB 3.0、1000BASE-T、HDMIなど)では、送信側と受信側を同期するために、エンベデッド・クロック(クロックをデータに埋め込んで伝送する方式)が用いられ、専用のクロック線が用いられていない。

受信側では、受信したデータ列の「0」と「1」を正しいタイミングで判定するために、受信側のクロックを送信側のクロックに同期し、そのクロックで受信したデータ列をサンプリングしてデータを回復する必要がある。このために、送信されてきた(エンベデッド・クロック方式の)データ列からクロックを回復(リカバリ)することをクロック・リカバリという。

高速シリアル・データ通信では、長時間「0」または「1」のみのデータが続くと、直流成分が含まれることになり、AC結合のデータ線で電圧レベルが減衰し、遷移ポイント付近で「0」か「1」かの判定が困難になる。このために、8b10bなどのコード化を行って、長時間連続して「0」または「1」が発生しないようにしている。また、このようにすることにより、送信されてきたデータ列の「0」から「1」や「1」から「0」への遷移ポイントを検出し、受信側の基準クロックを遷移ポイントに(PLLを用いて)同期して、クロックを回復することができる。

高速シリアル通信については、以下を参照

設計の基本は仕様の理解 ― 高速シリアル通信を実現するために知っておくべき最低限の知識

高速シリアル・インタフェース測定の必須スキルを身に着ける

クロック・リカバリの詳細については、以下を参照。

CLOCK AND DATA RECOVERY CIRCUITS(英語pdf)

Clock and Data Recovery for Serial Digital Communication(英語pdf)

Fix it 50994を適用した環境で、JREのインストールが失敗する

先月末、SDL Trados Studio 2014 SP1がリリースされ、弊社でも少しずつインストールを始めているところです。

fixit50994そこで遭遇したのが、環境によってエラーが発生するものとそうでないものがあるという現象です。インストールはいくつかのパートに分かれているのですが、エラーが発生するのはJava Runtime Environment(JRE)導入のパートであり、これはトラブルに見舞われた環境すべてに一致するものでした。Trados Studio 2014 SP1はJRE 8が必須となり、アプリケーションのインストーラに同梱されているのですが、これが問題を引き起こしているようでした。

インストールログを精査し、各環境のインストール済みのアプリケーションを調べていくうちに、Microsoft提供のIEでJavaプラグインを無効するためのプログラム「Fix it 50994」が問題を引き起こしていることがわかりました。これがインストールされるとIE上でjavaのコンテンツが無効となり、昨今増加しているJavaプラグインのセキュリティ・ホールをついた攻撃を回避できるメリットがあります。

ただし、このFix itにはJREのインストールを失敗させる副作用があるようです。試しに、このFix itを無効化するプログラム「Fix it 50995」を適用したところ、JREのインストールが無事に完了することを確認しました。

ということで、JREのインストールでエラーが発生する際は「Fix it 50994」が適用済みかどうかご確認ください。解決の糸口になるかも知れません。

MMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)

高周波シミュレーションに関する翻訳に、MMICという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent EEsof EDA W2321 レイアウト・エレメント)。MMICは、Monolithic Microwave Integrated Circuit(モノリシック・マイクロ波集積回路)の略である。

半導体デバイスは、ダイオードやトランジスタなどの個別半導体素子(ディスクリート半導体)と集積回路(IC)の2種類に分類される。集積回路は、ハイブリッド集積回路(ハイブリッドIC)とモノリシック集積回路(モノリシックIC)の2種類に分類される。モノリシックICとは、シリコン(Si)やガリウムヒ素(GaAs)などの単一の半導体基板(ウェハー)上にトランジスタ、ダイオード、抵抗、キャパシタなどの素子を一体に形成して機能を実現したもので、ICと言えば、通常はモノリシックICのことである。ハイブリッドICは、絶縁基板上に個別半導体素子、モノリシックIC、抵抗、コンデンサなどの電子部品を高密度に実装して、1つのICのようにパッケージングしたものである(例えば、ここの構造を参照)。

したがって、MMICとは、マイクロ波帯のミキサ、増幅、スイッチングなどの機能を、単一の半導体基板上に形成したICである(例えば、ここの画像)