IGBT

半導体デバイス測定に関する翻訳で、IGBTという言葉が出てくる(例えば、Keysight B1505Aによる1500 A/10 kV IGBTの特性評価)。IGBTは、Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)の略である。

IGBTは、ベース電流を制御してコレクタ-エミッタ間の主電流を制御するバイポーラ・トランジスタのベース部分がMOSFETのゲートに置き換わったようなもので、MOSFETの高速スイッチング性能とバイポーラ・トランジスタの高耐圧、低オン抵抗性能を併せ持っている。このような特徴から、高効率、省電力が求められる比較的大電力のパワー制御機器(冷蔵庫、エアコン、電気自動車、電車などのインバータ制御)で用いられている。

IGBTについては、以下を参照。

トランジスタの構造と基本特性(2)=MOSFETとIGBT=

こうして使おうパワー・デバイス 第3回 IGBTの原理と使い方

return loss(リターン・ロス)

高周波測定に関する翻訳で、return loss(リターン・ロス)という言葉がよく出てくる(例えば、FieldFoxベクトル・ネットワーク・アナライザのp10)。

伝送線路に信号を流すと、伝送線路の特性インピーダンスと負荷インピーダンスが同じ場合は、すべての入射波が負荷に吸収されて反射波が生じない。しかし、異なる場合はすべての入射波が負荷に吸収されずに反射波が生じる。この入射波の電圧と反射波の電圧は、方向性結合器を用いて容易に測定でき、これらの比(反射波の電圧/入射波の電圧)は反射係数と呼ばれる。リターン・ロスは、この反射係数を対数(デシベル)で表したもので、以下で定義される。

リターン・ロス(dB) = -20 x LOG(反射係数)

反射係数は、1以下(入射波の電圧≧反射波の電圧)なので、リターン・ロスは常に正の値で、無限大(反射波がない、特性インピーダンスの負荷)から0 dB(全反射、オープンまたはショート)まで変化する。

また、VSWR(電圧定在波比)とは、

リターン・ロス(dB) = 20 × LOG((VSWR + 1) / (VSWR – 1))

の関係にある。

リターン・ロスについては、以下を参照

ベクトル・ネットワーク解析の基礎

boxcar-averaging(ボックスカー・アベレージング)

オシロスコープ測定に関する翻訳で、boxcar-averaging(ボックスカー・アベレージング)という言葉が出てくる(例えば、高分解能オシロスコープの評価のp3)。

ボックスカー・アベレージングは、時間軸上で、比較的低い周波数の信号成分に高周波のノイズが重畳してる場合に、そのノイズ成分を除去するために用いられる平均化手法であり、移動平均と呼ばれることもある。boxcarとは有蓋貨車という意味であり、時間軸上の信号に対して平均演算を行う区間が移動するありさま(移動平均)が、有蓋貨車がレールを走るのを横から見るのと同様であることが、ボックスカー・アベレージングという名前の由来である。

移動平均については、以下を参照

FIR filter(FIRフィルタ)