differential nonlinearity(微分非直線性)

AD変換に関する翻訳で、differential nonlinearity(微分非直線性)という言葉がよく出てくる(例えば、高分解能オシロスコープの評価のp4)。

differential nonlinearity(微分非直線性)は、DNLと略されることもある。また、微分非線形性と訳されることもある。

AD(アナログ-デジタル)変換器の相対誤差には、量子化誤差、オフセット誤差、利得誤差、非直線性誤差がある。量子化誤差は、アナログ信号(連続値)をデジタル信号(離散ステップ値)で近似することにより生じる原理的な誤差である。オフセット誤差は、出力信号がゼロとなる入力信号の値(理想的にはゼロ、すなわち、オフセット誤差がゼロであればゼロ)である。利得誤差は、入力信号と出力信号の関係を表す直線の傾き(比例定数)の理想値からのズレである(理想的には入力信号と出力信号は傾き(比例定数)が1の比例関係にある)。非直線性誤差は、オフセット誤差と利得誤差を補正した後に残る、入力信号(連続値)と出力信号(離散ステップ値)の理想的な直線関係における部分的なズレである。非直線性誤差は、微分非直線性と積分非直線性(integral nonlinearity、INL)で評価される。

微分非直線性(DNL)は、入力信号の微小範囲に対する、出力信号の理想的なステップ変化(AD変換器の量子化単位(1LSB)、12ビットなら1/2^12)からのズレで、LSB単位で表される。積分非直線性(INL)は、入力信号と出力信号の関係を全体に見たみたときの最大のズレで、フルスケールに対する%で表される。

AD変換の誤差については、以下を参照。

センサから始まるシグナルパス(2) 最適なA-D変換器の選択方法

23. A/Dコンバータ(ADC) の23.6.3 ADC変換精度に関する用語定義

ブイヤベースとお国柄の違い

先日テレビを見ていたら、フランスのマルセイユからさらに奥に入った港町で漁師さん仕込みのブイヤベースを紹介していた。すごかったあー。まず取った魚を仕分けして大きなものと小さなものに分ける。そして小さなものは「だし」用にするのだが、とにかくうろこも内臓も取らずにどばーっと鍋に入れ、1時間ほどぐつぐつ煮込む。この時にフェンネル、ローリエ、パセリ、タイムなどのたっぷりのハーブを入れる。濾しておく。
大きい魚はメイン用にうろこと内臓を取り海水で洗う。大鍋でニンニク、玉ねぎをオリーブオイルで大量に炒め、そこに先ほどのスープを入れる。ここからは時間勝負。大きな魚を入れ、上にスープをかけながら10分ほど煮る。先にジャガイモの茹でたものをスープに入れておく。
ニンニクとからし、卵の黄身、オリーブオイルをミキサーにかけ「ルイユ」というソースを作る。これをかたいフランスパンに塗ったものを用意しておく。
魚に火が通ったらできあがり。
まずスープボールにルイユをたっぷり塗ったフランスパンを並べ、そこにスープをたっぷり加える。パンがスープを吸って、スープを食べる感じ。
うーんおいしそう。次にメインの魚にまたルイユを付けて食べる。たっぷり一人一匹のカサゴ、とか鯛がサーブされる。

buiyaあまりにおいしそうだったので、作ってみた。もちろん同じ材料は入らないからアレンジはMUST。だしは鱗も内臓も取った鯛のあらだけを使ったし、ワインを一杯入れてみた。フェンネルはなかったから八角の粉末とサフランをたくさん入れた。ゆうに半日かけて作ったブイヤベース。
おいしかったあ……

ミクニさんの言葉だが、「フランス料理は足し算、日本料理は引き算」。そのとおり。内臓の臭みをハーブを加えて取り、うまみに変える。血合いを全て取って臭みを取って潮汁にする日本料理のやり方となんと違うことか。
料理だけではない。フランス人は自分の体臭と混ぜていい香りになるコロンをつけてにおいを消す。日本人は毎日お風呂に入り、においを消す。たぶんこういうお国柄も翻訳に通じるところがあるのだろう。丁寧な、余分なものをそぎ落とした、でも内からでてくるコクがある、そんな翻訳を出していきたい。

reticle(レチクル)

reticle(レチクル)

EDA(Electronic Design Automation)に関する翻訳で、reticle(レチクル)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent EEsof EDA Premier Communications Design Softwareのp5の図5)。

reticleを辞書で調べると「レンズ内の十字線、目盛線」という訳が出てくるが、EDA(特に、半導体製造)では、ガラス基板上に金属薄膜で大規模集積回路(LSI)のマスクパターンが描かれたフォトマスクのことである。このフォトマスクにレーザ光を照射することにより、シリコン・ウェーハ上に大規模集積回路(LSI)が縮小投影される(露光、焼き付けられる)。露光後、感光した部分をエッチング処理し不純物を打ち込むことにより半導体素子が形成される。

半導体製造については、以下を参照。

CANONホームページ > 技術のご紹介 > サイエンスラボ > 光って何?第3章 光を利用する > 半導体露光装置