connected car(コネクテッドカー)

無線通信機器測定に関する翻訳に、connected car(コネクテッドカー)という言葉が最近よく出てくる(例えば、コネクテッドカー向けの革新的なテストソリューションのp2)。

コネクテッドカーとは、インターネットに常時接続されている車で、車両や車両の周囲環境の状態をさまざまなセンサで収集し、得られたデータをネットワーク上で集積、解析することにより、新たな価値(サービス)を提供するものである。これは、動くM2M、IoTと言ってよいものである。

コネクテッドカーにより実現されつつあるサービスとして、緊急通報システム(事故対応を迅速化するためのシステムで、欧州ではeCallシステムと呼ばれ、2018年4月から新車への搭載が義務付けられる)、テレマティクス保険(ブレーキの回数や加減速などの運転行動や運転時間帯などを分析して保険料を算定する保険で、米国で導入されている)、盗難車両追跡システムなどがある。

コネクテッドカーについては、以下を参照。

総務省の情報通信白書平成27年版 > 情報通信白書平成27年版 HTML版 > 表紙をクリック
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5G(第5世代移動通信システム)

無線通信計測関係の翻訳に、5G(第5世代移動通信システム)という言葉が最近よく出てくる(例えば、5G空間電波伝搬特性(チャネルサウンディング)の測定手法)。

移動通信システムは、第1世代(アナログ方式の自動車/携帯電話)、第2世代(PDCやGSM方式のデジタル携帯電話、データレート:数kbps)、第3世代(W-CDMAやCDMA2000方式の携帯電話、データレート:384 kbps)、第3.5世代(HSPAやEV-DO、データレート:14 Mbps)、第3.9世代(LTE、データレート:100 Mbps)、第4世代(LTE-Advanced、データレート:最大1 Gbps)と進化してきた。

5G(第5世代移動通信システム)に対する要求として、4k、8k動画のストリーミングが可能になる高速通信性能、スタジアムでのイベントや災害時でも通信が可能になったり、IoTにも対応できる同時接続数の向上、通信トラフィックの爆発的な増加に対応できるシステム容量の拡大、遠隔医療や車両の自動運転に必要とされる低遅延かつ高信頼の通信、IoT通信が可能になる省電力化などがある。

このような5G(第5世代移動通信システム)に求められる性能は、4Gに対して、

10~100倍のデータレート(高速通信)
100倍の同時接続端末数
1000倍のシステム容量(単位面積当たりの総通信容量)
1 ms未満の低遅延
1/10の消費エネルギー

が必要と言われている。

これらの性能要件を1つの新しい画期的なテクノロジーで実現するのは難しいので、さまざまな既存の技術の改良(LTE/LTE-Advancedで使用されているOFDMの改良、MIMOの大規模化、利用されていないミリ波帯の利用など)が提案されている。

5Gについては、以下を参照

株式会社 日立システムズネットワークスのホームページ > IPよもやま話 > 第125回 「5Gって何?」の話
NTT docomoのホームページ > >企業・IR > 技術情報 ドコモ5Gホワイトペーパー > ドコモ5Gホワイトペーパー(PDF形式:1,169KB)

burst signal(バースト信号)

オシロスコープ測定に関する翻訳で、burst signal(バースト信号)という言葉がよく出てくる(例えば、InfiniiVision Xシリーズ 教育用オシロスコープ・トレーニング・キットのp4)。

burst(バースト)は、辞書を引くと「爆発する」とか「張り裂ける」という訳があるが、オシロスコープで信号を時間領域で表示したときに、時間領域のごく一部にのみ、信号(正弦波、方形波、三角波など)が存在し、それ以外の領域には信号が存在しないものをバースト信号と呼ぶ。また、信号が存在する領域と信号が存在しない領域が時間領域で繰り返される信号もバースト信号と呼ばれる(例えば、ここの「バースト波形の出力」の図)。すなわち、このような波形は、時間領域の一部にのみ信号のエネルギーが集中している(爆発している)ので、バースト波形(信号)と呼ばれる。

NISPOM

測定器でのセキュア(安全)なデータ消去に関する翻訳で、NISPOMという言葉がよく出てくる(例えば、IntegraVision PA2200シリーズ パワー・アナライザのp7)。NISPOMは、National Industrial Security Program Operating Manual(国家産業保全プログラム運用マニュアル)の略で、アメリカ国防総省と契約関係にある企業に対する機密情報の保全に関する規則が定められている。

HDDなどの記録媒体からデータのセキュアな消去(完全消去)を行うための規格として、NISPOM方式というものがある。この方式では、データ領域を、最初に固定値”0x00″で上書きし、次に”0x00″の補数である”0xFF”で上書きし、最後に乱数で上書きするという、合計3回の上書き操作が行われる。

最も強力なデータ消去方式として、35回の上書きを行うGUTMANN方式というものもあるが、これらの強力なデータ消去方式は1990年代の記録密度が低く、残留磁気が残りやすいHDDが使用されていた時期のもので、NIST(National Institute of Standards and Technology、アメリカ国立標準技術研究所)のSpecial Publication 800-88 (Guidelines for Media Sanitization)では、2001 年以降に製造された15GBを超えるHDDでは1回の上書きによる消去で十分としている。

セキュアなデータ消去については、以下を参照。

デジタル・フォレンジック研究会のホームページ > 研究会活動 > 書籍 > 「証拠保全先媒体のデータ抹消に関する報告書」 > データ抹消に関する米国文書(規格)及びHDD、SSD の技術解説(沼田 理)データ消去に関する海外規格の動向(瀧澤 和子)