spread spectrum clock(スペクトラム拡散クロック)

ビットエラー測定に関する翻訳に、spread spectrum clock(スペクトラム拡散クロック)という言葉が出てくる(例えば、Keysight J-BERT M8020A 高性能BERTのp4)。

近年のデジタル機器(PCや携帯電話など)の高速化、高密度化に伴い、機器のEMIノイズは増加し続けている。デジタル機器の動作にはクロック信号が必要であり、その基本波と高調波がノイズの主な原因である。理想的な方形波のクロックを、スペクトラム・アナライザなどで周波数領域で見ると(方形波をフーリエ変換すると)、クロック周波数(基本波周波数)、3×クロック周波数(3次高調波周波数)、5×クロック周波数(5次高調波周波数)、...の位置にスペクトラムのピークがあり、大きなノイズの原因となる。

CISPR(国際無線障害特別委員会)などのEMI規格に適合させるために、上記のようなクロック信号のピークを低減させる技術がスペクトラム拡散クロックである。これは、クロック周波数をわずかに変動させる(周波数変調を行なう)ことにより、周波数領域のピーク信号のエネルギーをその回りに分散(拡散)させてピーク振幅を低減する方法である。

身の回りのものでは、PCのBIOS設定で、スペクトラム拡散クロックのオン/オフができるものがあったが、最近では設定項目がなく常にオンになっている。

スペクトラム拡散クロックについては、以下を参照

周波数拡散クロックIC編

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