オシロスコープ測定に関する翻訳に、power integrity(パワーインテグリティ)という言葉がよく出てくる(例えば、N7020Aパワー・インテグリティ測定用パワー・レール・プローブ)。
power integrity(パワーインテグリティ)は「電源品質」とも訳されることがあるが、一般に、電子機器のプリント基板の電源層/電源ラインやグランド層の配置や形状などに起因するノイズの混入や供給電圧の安定性などの電源品質を表わす。
昔は、細い配線で経路や曲がり具合を気にせずプリント基板上のICに電源とグランドを接続すれば動作した。しかし、近年、FPGA、ASIC、DSP、CPUなどのLSIの低電圧化、大電流化により、それらに供給する電源の品質が重要になっている。低電圧化により、必然的に供給される電流が大きくなるが、大電流により配線抵抗が小さくても大きな電圧降下が生じる(電流Iが大きいと、配線抵抗Rが小さくても、オームの法則から配線の両端での電圧降下IRが大きくなる。IRドロップと呼ばれる)。低電圧化により動作電圧が小さい(したがって、動作電圧のマージンも小さい)ので、このようなIRドロップによりLSIが誤動作を起こしやすくなる。
この問題を解決するには、配線抵抗R(電源層とグランド層の間(PDN(Power Distribution Network、電源分配回路)のインピーダンス)を小さくする必要があり、電源層の面積を大きくしたり、バックアップコンデンサを使用して過渡的に大きな電流を供給して電圧を安定化するなどの方法がある。
パワーインテグリティについては、以下を参照。